初心者向け解説!SIEMって何?🤔 サイバーセキュリティの”監視カメラ”

インターネットが欠かせない現代、サイバー攻撃のニュースを目にする機会が増えましたね。企業や組織は、大切な情報を守るために様々なセキュリティ対策を行っています。その中でも近年注目されているのが「SIEM(シーム)」と呼ばれる仕組みです。

でも、「SIEMって何?」「どんな役に立つの?」と疑問に思う方も多いでしょう。この記事では、IT初心者の方にもわかりやすく、SIEMについて解説します!🛡️

SIEMは、Security Information and Event Management の略で、日本語では「セキュリティ情報イベント管理」と訳されます。なんだか難しそうですが、簡単に言うと、コンピューターシステムやネットワーク機器など、様々な場所から集めたセキュリティ関連の「ログ(記録)」を一箇所に集めて、まとめて分析・監視するシステムのことです。

身近な例で例えるなら、たくさんの防犯カメラ(ログを出す機器)の映像(ログ)を、一つの監視センター(SIEM)で集中管理し、怪しい動き(セキュリティ脅威)がないかチェックするイメージです。🕵️‍♀️

SIEMは、元々「SIM(Security Information Management:セキュリティ情報管理)」と「SEM(Security Event Management:セキュリティイベント管理)」という二つの技術分野を組み合わせたもので、2005年にガートナー社によって提唱されました。

昔のサイバー攻撃は比較的単純なものが多かったのですが、最近の攻撃は非常に巧妙で、気づかれにくい手口が増えています。一つの機器のログだけを見ていても、それが攻撃の一部なのか、正常な動作なのか判断するのが難しくなっています。

例えば、2020年後半に発覚したSolarWinds社のソフトウェアを悪用したサプライチェーン攻撃のように、正規のソフトウェアアップデートに見せかけて侵入するような高度な攻撃では、様々な機器のログを横断的に分析しないと、侵入の兆候を見つけるのが困難です。

SIEMは、様々な場所からログを集めて分析することで、こうした巧妙な攻撃の兆候や、通常とは異なる怪しい動き(異常検知)を早期に発見するのに役立ちます。早期発見できれば、被害が広がる前に対処することができます。👍

SIEMには、セキュリティ対策を強化するための様々な機能があります。主な機能と、それによって得られるメリットを見てみましょう。

主な機能 説明 メリット
ログ収集・一元管理 ファイアウォール、サーバー、PC、各種セキュリティ機器など、組織内の様々なIT機器からログを自動的に収集し、一箇所にまとめます。 ✅ バラバラだったログを探す手間が省ける
✅ ログの全体像を把握しやすくなる
✅ 運用管理者の負担軽減・効率化
ログの正規化・可視化 異なる形式のログデータを、分析しやすいように統一されたフォーマットに変換(正規化)し、ダッシュボードなどで分かりやすく表示します。 ✅ データの意味を理解しやすくなる
✅ 異常な傾向を視覚的に捉えやすい
✅ 分析の精度向上
相関分析 複数のログデータを関連付けて分析します。「Aという機器でログイン失敗が多発した後、Bというサーバーへのアクセスがあった」といった、単一のログだけでは分からない脅威の兆候を発見します。 ✅ 巧妙な攻撃や内部不正を発見しやすくなる
✅ 個々の事象だけでなく、攻撃全体の流れを把握
✅ 誤検知の削減
リアルタイム検知・アラート通知 事前に設定したルールや、AIによる異常検知に基づいて、セキュリティ上の脅威や疑わしい活動をリアルタイムで検知し、管理者に通知(アラート)します。 ✅ 脅威への迅速な対応が可能になる
✅ 被害が発生する前、または拡大する前に対処できる
✅ 24時間365日の監視体制を支援
レポート生成・コンプライアンス対応 セキュリティ状況に関するレポートを自動生成します。セキュリティ基準や法令(コンプライアンス)で求められるログの保管や監査証跡の提出にも役立ちます。 ✅ セキュリティ状況の定期的な報告が容易になる
✅ 監査対応の効率化
✅ 法令遵守の証明
インシデント調査支援 セキュリティインシデント(事故)が発生した場合に、収集・保管されたログデータを活用して、原因究明や影響範囲の特定などの調査を効率的に行うことができます。 ✅ 迅速な原因特定と復旧作業
✅ 再発防止策の検討に役立つ
✅ フォレンジック調査の基盤となる

SIEMは、様々な種類のサイバー攻撃やセキュリティインシデントの検知に役立ちます。

  • マルウェア感染: ウイルスやランサムウェアなどの悪意のあるソフトウェアの活動検知
  • 不正アクセス: 権限のないユーザーによるシステムへのログイン試行や成功
  • ブルートフォース攻撃: パスワードを総当たりで試行する攻撃の検知
  • DDoS攻撃: 大量のデータを送りつけてサービスを停止させる攻撃の兆候検知
  • 内部不正: 社員など内部関係者による機密情報への不審なアクセスやデータ持ち出し
  • 標的型攻撃: 特定の組織を狙った巧妙な攻撃の初期段階や内部活動の検知
  • ポリシー違反: 定められたセキュリティルールに反する操作の検知

もちろん、SIEMを導入すれば全ての攻撃を完璧に防げるわけではありません。しかし、攻撃の痕跡はログに残ることが多いため、ログをしっかり監視・分析するSIEMは、脅威を早期に発見し、被害を最小限に食い止めるために非常に重要な役割を果たします。

SIEMは、組織内の様々なIT機器からログを集約し、分析・監視することで、巧妙化するサイバー攻撃や内部不正などのセキュリティ脅威を早期に発見するための重要な仕組みです。

まるでセキュリティの”監視カメラセンター”のように、システム全体を見渡し、異常があればすぐに知らせてくれます。これにより、企業や組織は迅速に対応でき、被害を最小限に抑えることが可能になります。

セキュリティ対策は、一つのツールだけでなく、多層的な防御が重要です。SIEMはその中核として、組織全体のセキュリティレベル向上に貢献するソリューションと言えるでしょう。😊