Gemini CLIとは?ターミナルで使えるAIアシスタントを初心者にも分かりやすく解説

はじめに

「Gemini CLI」という言葉を聞いたことはありますか?開発者やIT技術者の間で、今注目を集めているツールです。簡単に言うと、ターミナルやコマンドプロンプトといった黒い画面(CLI)から、Googleの高性能なAI「Gemini」を直接利用できるツールのことです。

この記事では、Gemini CLIとは何か、どのような種類があり、それぞれどういった特徴を持つのかを、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

Gemini CLIとは?

まず前提として、CLIは「Command Line Interface」の略で、キーボードでコマンドを打ち込んでコンピュータを操作する方式のことです。Windowsのコマンドプロンプトや、macOS/Linuxのターミナルがこれにあたります。

Gemini CLIは、このCLI環境からGoogleのAIモデル「Gemini」の様々な機能(文章作成、翻訳、要約、コード生成、情報検索など)を呼び出すためのツールです。2025年6月25日にGoogleからオープンソースのAIエージェントとして発表され、注目を集めました。 これにより、開発者は普段使い慣れたターミナルから離れることなく、AIの力を借りて作業効率を大幅に向上させることができます。

一言で「Gemini CLI」と言っても、厳密には複数の選択肢があります。主に、Googleが公式に開発したオープンソースの「Gemini CLI」と、Google Cloudのサービスを操作する「gcloud CLI」を通じてGeminiを利用する方法の2つに大別できます。

Google公式「Gemini CLI」

Googleが開発し、オープンソース(Apache 2.0ライセンス)として公開しているAIエージェントツールです。 これが一般的に「Gemini CLI」と呼ばれるものです。開発者がターミナル上で、より対話的かつ直感的にGeminiを使えるように設計されています。

主な特徴

  • 対話型モード: gemini コマンドを実行すると、AIとチャットするような対話形式で様々な指示を出せます。
  • ローカルファイルとの連携: @ を使って、自分のPC内にあるファイルやディレクトリをAIに読み込ませ、内容についての質問やコードの修正依頼が可能です。
  • コマンド実行: AIに指示して、ターミナル上で必要なコマンドを自動で実行させることができます。
  • ツール連携: Google検索や、画像生成AIのImagenなど、他のツールと連携した高度なタスクも実行できます。
  • 無料での利用: 個人のGoogleアカウントでログインすれば、1日1,000リクエストまでなど、非常に寛大な無料枠が用意されています。

インストール方法

Node.js(バージョン18以上)がインストールされている環境であれば、以下のコマンド一つで簡単にインストールして使い始めることができます。

npm install -g @google/gemini-cli

インストール後、ターミナルで gemini と入力し、画面の指示に従ってGoogleアカウントで認証すればセットアップは完了です。

gcloud CLI (Google Cloud SDK) を使った利用

もう一つの方法は、Google Cloud Platform (GCP) の様々なサービスを管理するためのコマンドラインツール「gcloud CLI」を通じて、GCPのAI基盤である「Vertex AI」上のGeminiモデルを利用する方法です。

こちらは、よりシステム的な利用や、既存のGoogle Cloud環境との連携を重視する場合に適しています。 例えば、自社のアプリケーションや自動化スクリプトの中に、Geminiの機能を組み込みたい場合に強力な選択肢となります。

主な特徴

  • システム連携: シェルスクリプトや他のプログラムから呼び出しやすく、タスクの自動化に適しています。
  • セキュリティとガバナンス: Vertex AIの機能を通じて、企業のセキュリティポリシーやデータ管理の基準に沿った形で安全に利用できます。
  • 詳細なカスタマイズ: 利用するモデルのバージョン指定や、パラメータの細かい調整が可能です。
  • Google Cloudとの統合: Cloud StorageやBigQueryなど、他のGoogle Cloudサービスとシームレスに連携できます。

利用方法

gcloud CLIを利用する場合、まずGoogle Cloud SDKをインストールし、Google Cloudプロジェクトの設定と認証を行う必要があります。

具体的なコマンドは、やりたいことによって複雑になりますが、例えば特定のテキストを要約させる場合は以下のような形式になります。

gcloud ai predict (モデルやエンドポイントの設定) --json-request=request.json

この方法では、APIリクエストの内容を記述したJSONファイルを用意する必要があり、公式の「Gemini CLI」に比べて手軽さの面では劣りますが、自動化処理における柔軟性と確実性が高いのが特徴です。

どちらを使えばいい?

「結局、どちらを使えばいいの?」と迷うかもしれません。あなたの目的によって最適な選択は異なります。以下の表を参考にしてみてください。

観点 公式「Gemini CLI」 gcloud CLI (Vertex AI経由)
主な利用者 個人開発者、AIを手軽に試したい人、ターミナルでの対話的な作業を効率化したい人 企業システムの開発者、インフラエンジニア、AI機能を自社サービスに組み込みたい人
使いやすさ 非常に簡単。対話形式で直感的に使える。 学習が必要。コマンドやAPIの知識が求められる。
主な用途 コーディング補助、デバッグ、情報収集、アイデア出し、タスクの自動化 本番環境へのAI機能のデプロイ、バッチ処理、既存システムとの連携
メリット ・インストールが簡単
・対話形式で使いやすい
・寛大な無料枠がある
・セキュリティとガバナンスを効かせられる
・他のGCPサービスと連携しやすい
・詳細なカスタマイズが可能
注意点 ・企業によってはデータプライバシーポリシーの確認が必要
・本番システムへの直接的な組み込みには不向きな場合がある
・Google Cloudプロジェクトが必要
・セットアップが複雑
・利用量に応じた課金が発生する(無料枠あり)

まとめ

Gemini CLIは、開発者の生産性を飛躍的に向上させる可能性を秘めた強力なツールです。

  • 手軽にAIの力を借りて日々のコーディングや情報収集を効率化したいなら、まずは公式の「Gemini CLI」を試してみるのがおすすめです。
  • 一方で、企業システムとしてAI機能を安全に利用したり、既存のGoogle Cloud環境と連携させたりする必要がある場合は、「gcloud CLI」を通じたVertex AIの利用が最適な選択となるでしょう。

自分の目的に合ったツールを選んで、ターミナルベースの快適なAI活用を始めてみましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です