ゴールシークプロンプトとは?AIとExcel、2つの意味を徹底解説

「ゴールシークプロンプト」という言葉を聞いたことはありますか?実はこの言葉、使われる文脈によって全く異なる2つの意味を持っています。一つは人工知能(AI)への指示方法に関するもの、もう一つはMicrosoft Excelの特定機能に関するものです。

この記事では、IT初心者の方でも理解できるように、それぞれの「ゴールシークプロンプト」について、具体例を交えながら分かりやすく解説します。

1. AIにおける「ゴールシークプロンプト」

概要:AIに最終目標だけを伝える指示方法

AI、特にChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)におけるゴールシークプロンプトとは、具体的な手順を細かく指示するのではなく、達成したい最終的な「ゴール(目標)」だけを伝えて、AIに自律的に考えさせるための指示(プロンプト)手法です。 これは「ゴール指向プロンプティング」とも呼ばれます。

従来のプロンプトが「Aをして、次にBをして、最後にCをしてください」と手順を一つひとつ教えるものだとすれば、ゴールシークプロンプトは「Cの状態にしてください」と最終目標だけを伝えるイメージです。

従来の手法との違い

これまでのプロンプトでは、人間がAIにやってほしいことを具体的に、順を追って指示する必要がありました。 例えば、思考連鎖プロンプティング(Chain-of-Thought Prompting)のように、AIに論理的な思考プロセスをステップバイステップで実行させる手法もあります。

一方、ゴールシークプロンプトでは、ユーザーは「何を達成したいか」というゴールを設定するだけで、そこに至るまでの具体的なプロンプト(指示文)の作成や実行計画の立案をAI自身に委ねます。 AIと対話を繰り返しながら、徐々に目標達成に近づけていくのが特徴です。

メリットとデメリット

メリット

  • 専門知識が少なくても使える: 曖昧な目標からでもAIが具体的な行動を提案してくれるため、プロンプト作成に慣れていない初心者でも高度なタスクを実行しやすいです。
  • AIの能力を引き出せる: AIに自律的に考えさせることで、人間が思いつかないような創造的な解決策やアイデアが生まれる可能性があります。
  • 汎用性が高い: 一度やり方を覚えれば、マーケティング戦略の立案やコンテンツ作成など、様々な分野に応用できます。

デメリット

  • 時間がかかる場合がある: AIとの対話を何度も繰り返す必要があるため、一回の指示で完結させたい場合には不向きです。
  • 意図しない結果になる可能性: AIの解釈によっては、ユーザーの意図とは異なる方向に進んでしまうことがあります。そのため、定期的な軌道修正が必要です。

具体例:ブログ記事の構成案を作成する

ゴールシークプロンプトの考え方を利用した、最初のプロンプトの例を見てみましょう。これは、AIに「最高のプロンプトを作らせる」ためのプロンプトです。


あなたは優秀なプロンプトエンジニアです。
私の目的を達成するために、最高のプロンプトを一緒に作成してください。

次のプロセスに従ってください。
1. まず、私が何についてのプロンプトを求めているかを確認してください。
2. 私の返答に基づき、以下の3つのセクションを生成してください。
   a) 改訂されたプロンプト:より明確で簡潔なプロンプトを提案してください。
   b) 提案:プロンプトをさらに改善するためのアイデアを提案してください。
   c) 質問:プロンプトを改善するために必要な情報を私に質問してください。
3. 私が「完了」と言うまで、この対話を繰り返します。

準備はよろしいですか?
      

この初期プロンプトを入力後、AIから「何についてのプロンプトを作成しますか?」と質問されます。そこで「AIの初心者向けに、AIの重要性を解説するブログ記事の構成案を作りたい」といったゴールを伝えると、AIが対話を通じて最適なプロンプトを一緒に作り上げてくれます。

2. Excelにおける「ゴールシークプロンプト」

概要:結果から逆算するExcelの機能

Excelにおける「ゴールシーク」とは、数式によって得られる計算結果の目標値を先に決め、その目標を達成するためには入力値をいくつにすればよいかを逆算する機能のことです。 「ゴールシークプロンプト」という言葉は、この機能を使う際に表示されるダイアログボックス(ユーザーに情報の入力を促すウィンドウ)や、その操作自体を指すことがあります。

例えば、「目標利益を達成するには、商品をいくつ売ればいいか?」「希望のローン返済額にするには、借入額をいくらにすべきか?」といった計算を簡単に行うことができます。

使い方と具体例

ここでは、簡単な売上計算を例にゴールシークの使い方を説明します。

  1. 表の準備: まず、以下のような簡単な売上計算表を作成します。「売上合計」のセルには「=B2*B3」という数式が入力されているとします。
  2. A B
    1 項目 数値
    2 単価 500
    3 販売数 100
    4 売上合計 50000
  3. ゴールシークの実行:
    • [データ]タブ → [What-If分析] → [ゴールシーク] を選択します。
    • 「ゴールシーク」ダイアログボックス(プロンプト)が表示されます。
  4. 条件の入力:
    • 数式入力セル: 売上合計のセル(B4)を指定します。
    • 目標値: 達成したい売上合計(例: 80000)を入力します。
    • 変化させるセル: 目標達成のために変更したい数値のセル(この場合は販売数のセルB3)を指定します。
  5. 結果の確認: [OK]をクリックすると、Excelが自動で計算を行い、目標売上80,000円を達成するには販売数を「160」にする必要がある、という結果をセルB3に表示します。

まとめ:文脈の理解が重要

「ゴールシークプロンプト」という言葉が、AIとExcelの分野で全く異なる意味で使われていることがお分かりいただけたでしょうか。最後に、2つの意味の違いを表で比較してみましょう。

項目 AIのゴールシークプロンプト Excelのゴールシーク
目的 AIとの対話を通じて、ユーザーの曖昧な目標を達成するための最適な指示(プロンプト)を生成すること。 特定の計算結果(目標値)を得るために、数式内の一つの入力値を逆算すること。
対象 ChatGPTなどの大規模言語モデル(LLM)。 Microsoft Excelのワークシート上の数式。
手法 ユーザーがゴールを提示し、AIが質問や提案を繰り返す対話形式。 専用のダイアログボックスに「数式セル」「目標値」「変化させるセル」を指定する操作。
得られる結果 目標達成のための具体的な計画や、洗練されたプロンプト(指示文)。 目標値を達成するための具体的な入力値。

このように、同じ名前でも意味は大きく異なります。今後「ゴールシークプロンプト」という言葉を見聞きした際は、それがAIに関する話なのか、Excelの機能に関する話なのか、文脈をよく確認することが大切です。

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