最近よく耳にする「ChatGPT(チャットジーピーティー)」という言葉。気になってはいるものの、「一体何ができるの?」「どうやって使うの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。このブログでは、IT初心者の方でもわかるように、ChatGPTの基本から応用までをわかりやすく解説します。
ChatGPTとは?
ChatGPTとは、米国の人工知能(AI)開発企業であるOpenAIが開発し、2022年11月30日に公開した対話型のAIチャットサービスです。 人間と話しているかのような、自然で精度の高い文章を生成できるのが最大の特徴です。
質問に答えるだけでなく、文章の作成や要約、翻訳、アイデア出し、さらにはプログラミングコードの生成まで、非常に幅広いタスクをこなすことができます。
その名前は、「Chat(チャット)」と、基盤となっている技術「GPT」を組み合わせたものです。
ChatGPTの「GPT」って何?
ChatGPTの根幹をなす技術が「GPT」です。これは「Generative Pre-trained Transformer(ジェネレーティブ・プレトレーニング・トランスフォーマー)」の略です。 少し難しく聞こえますが、分解してみると理解しやすくなります。
- Generative(生成可能な): 新しい文章やアイデアなどを自ら「生成」できる能力。
- Pre-trained(事前学習済みの): インターネット上の膨大な量のテキストデータをあらかじめ「学習」していること。
- Transformer(トランスフォーマー): 2017年にGoogleが発表した画期的な深層学習モデル。文章の中の単語同士の関連性や文脈を効率的に捉える「アテンション機構」という仕組みが特徴です。
つまりGPTとは、「インターネット上の膨大な情報で事前にトレーニングされ、文脈を理解して新しい文章を生成できるトランスフォーマーモデル」という、非常に高性能な大規模言語モデル(LLM)の一種なのです。
ChatGPTで何ができる?できること一覧
ChatGPTは非常に多機能です。ここでは、その代表的な活用例をいくつか紹介します。
カテゴリ | 具体的な活用例 |
---|---|
情報収集・調査 | 複雑な事柄についての説明を求める、特定のトピックに関する情報を集める。 |
文章作成・編集 | メールの文面作成、ブログ記事の執筆、SNS投稿文の作成、文章の要約や校正。 |
翻訳 | 日本語を英語に、英語を日本語に、といった多言語間の翻訳。 |
アイデア出し | 新しい商品の企画、イベントのアイデア、キャッチコピーの提案など。 |
プログラミング | PythonやJavaScriptなどのコード生成、コードのエラーチェック(デバッグ)、関数の作成。 |
日常生活 | 旅行の計画、献立の相談、悩み相談など。 |
ChatGPTの仕組み
ChatGPTはどうして、これほど人間のように自然な文章を作り出せるのでしょうか。その仕組みを簡単に説明します。
- 膨大なデータで学習: まず、インターネット上のブログ、ニュース記事、書籍など、ありとあらゆるテキストデータを読み込み、「言葉の次にはどの言葉が来やすいか」というパターンを確率的に学習します。
- 入力の文脈を理解: ユーザーが入力した文章(プロンプト)を「トークン」という単位に分割し、それぞれの単語の意味や文章全体の文脈を理解します。
- 次に来る単語を予測・生成: 学習したパターンと入力された文脈を基に、次に来る確率が最も高い単語を予測し、それを繋げていくことで文章を生成します。
- 人間からのフィードバックで強化: さらに、人間が「より良い回答」を評価してフィードバックを与えることで、より自然で、ユーザーの意図に沿った回答ができるように調整されています(人間のフィードバックによる強化学習:RLHF)。
無料版と有料版(ChatGPT Plusなど)の違い
ChatGPTには無料で使えるプランと、月額料金のかかる有料プラン(ChatGPT Plusなど)があります。主な違いは以下の通りです。
項目 | 無料版 | 有料版 (ChatGPT Plusなど) |
---|---|---|
利用料金 | 無料 | 月額20ドル~(プランによる) |
AIモデル | 高性能なモデル(GPT-4oなど)も利用可能だが、利用回数に制限あり。 | より高性能で最新のモデル(GPT-4oなど)を優先的に、より多く利用できる。 |
応答速度 | 標準的。混雑時は遅くなることがある。 | 高速な応答。混雑時でも優先的にアクセスできる。 |
追加機能 | 基本的なチャット機能が中心。 | 画像生成(DALL-E 3)、データ分析、Webブラウジング、プラグインなど、より高度な機能が利用可能。 |
利用制限 | 短時間での利用回数に制限がある場合がある。 | 無料版より制限が大幅に緩和されている。 |
入力方法 | テキスト入力が主。 | テキストに加え、画像やファイルのアップロードにも対応。 |
まずは無料版で試してみて、より高度な機能や快適な利用環境が必要になったら有料版を検討するのがおすすめです。
ChatGPTの始め方・使い方
ChatGPTを始めるのはとても簡単です。
- ChatGPTの公式サイトにアクセスします。
- メールアドレスやGoogleアカウントなどでアカウントを登録します。
- ログイン後、画面下部にあるチャットボックスに質問や指示を入力して送信するだけです。
これだけで、すぐにChatGPTとの対話を始めることができます。
開発者向け:ChatGPT APIとは?
ChatGPTには「API(Application Programming Interface)」というものも提供されています。 これは、開発者が自分のWebサイトやアプリケーション、サービスにChatGPTの機能を組み込むための仕組みです。
APIを利用することで、自社製品に自動応答チャットボットを搭載したり、業務システムに文章生成機能を組み込んだりと、活用の幅が大きく広がります。
例えば、Pythonというプログラミング言語を使ってAPIを呼び出す場合、以下のようなコードを記述します。
import openai
# OpenAI APIキーを設定
openai.api_key = 'YOUR_API_KEY'
response = openai.ChatCompletion.create( model="gpt-4o", messages=[ {"role": "system", "content": "You are a helpful assistant."}, {"role": "user", "content": "日本の首都について教えてください。"} ]
)
print(response.choices.message['content'])
APIを利用するには、OpenAIのサイトでアカウントを作成し、APIキーを取得する必要があります。 料金は利用した分だけ支払う従量課金制です。
ChatGPTを利用する上での注意点
利用する前に知っておきたいこと
ChatGPTは非常に便利なツールですが、利用する際にはいくつか注意すべき点があります。
- 情報の正確性: ChatGPTが生成する情報が、常に正しいとは限りません。 時には、事実と異なる情報(ハルシネーション)を生成することがあります。 重要な情報については、必ず複数の情報源で確認(ファクトチェック)するようにしましょう。
- 個人情報・機密情報の入力: 入力したデータは、AIの学習に利用される可能性があります。 個人情報や会社の機密情報などは絶対に入力しないでください。
- 専門的なアドバイスの代替ではない: 医療、法律、金融など、専門的な知識が必要な分野のアドバイスを求めるのには適していません。 必ず専門家に相談してください。
- 著作権の問題: 生成された文章が、既存の著作物と類似してしまう可能性もゼロではありません。商用利用などを考えている場合は、特に注意が必要です。