IPアドレスってなんだろう?
IPアドレス(Internet Protocol Address)とは、一言でいうと「インターネット上の住所」のようなものです。 パソコンやスマートフォン、タブレットなどのネットワークに接続されている機器には、それぞれを識別するための固有の番号が割り振られます。
私たちが手紙を送るときに宛先の住所が必要なように、インターネットでウェブサイトを見たり、メールを送受信したりする際には、このIPアドレスがあることで、データを送る相手と受け取る相手を正確に識別できます。 IPアドレスがなければ、情報が目的の場所に正しく届かなくなってしまいます。
IPアドレスのバージョン:IPv4とIPv6
IPアドレスには、主に2つのバージョン(規格)があります。現在主流の「IPv4」と、新しい「IPv6」です。
IPv4 (Internet Protocol version 4)
現在、広く使われているのがIPv4です。「192.168.1.1」のように、0から255までの数字を4つ、ピリオド(.)で区切って表現されます。
IPv4は32ビットのデータで構成されており、約43億個のIPアドレスを作ることができます。 しかし、インターネットの急速な普及により、世界中のデバイスに割り当てるIPアドレスが足りなくなる「IPアドレス枯渇問題」が発生しました。 実際に、アジア太平洋地域では2011年4月15日に、通常の割り振りが可能なIPv4アドレスの在庫が事実上枯渇しました。
IPv6 (Internet Protocol version 6)
IPv4の枯渇問題を解決するために登場したのがIPv6です。 IPv6は128ビットのデータで構成され、作成できるアドレスの数は約340澗(かん)個にもなります。 これは340兆の1兆倍のさらに1兆倍という天文学的な数で、事実上、無限に近いアドレスを割り当てることが可能です。
IPv6は「2001:0db8:85a3:0000:0000:8a2e:0370:7334」のように、16進数で表現され、コロン(:)で区切られます。 現在はIPv4とIPv6が共存している移行期間であり、将来的にはIPv6が主流になると考えられています。
IPアドレスの種類:どこで使われる?
IPアドレスは、使用される範囲によって「グローバルIPアドレス」と「プライベートIPアドレス」の2種類に分けられます。
グローバルIPアドレス
インターネットに接続する際に使用されるIPアドレスです。 世界中で絶対に重複しないように、ICANNなどの機関によって管理されており、契約しているプロバイダ(ISP)から割り当てられます。 まさに、世界でたった一つの「住所」と言えるでしょう。
プライベートIPアドレス
家庭や会社など、特定の限られたネットワーク(LAN)の中だけで使用されるIPアドレスです。 ローカルIPアドレスとも呼ばれます。 この範囲内でのみ重複しなければよいため、別の家庭や会社のネットワークでは同じプライベートIPアドレスが使われている可能性があります。
普段、私たちが家庭で使っているパソコンやスマートフォンには、ルーターからこのプライベートIPアドレスが割り振られています。そして、ルーターがプライベートIPアドレスをグローバルIPアドレスに変換することで、インターネットとの通信が可能になっています。
| クラス | プライベートIPアドレスの範囲 |
|---|---|
| クラスA | 10.0.0.0 ~ 10.255.255.255 |
| クラスB | 172.16.0.0 ~ 172.31.255.255 |
| クラスC | 192.168.0.0 ~ 192.168.255.255 |
IPアドレスの種類:どうやって割り当てられる?
IPアドレスの割り当て方法には、「動的IPアドレス」と「固定IPアドレス」の2種類があります。
動的IPアドレス
インターネットに接続するたびに、プロバイダが持っているIPアドレスの中から空いているものが自動的に割り当てられます。 接続を切ったり、ルーターを再起動したりすると、IPアドレスが変わる可能性があります。 一般的な家庭用のインターネット接続では、この動的IPアドレスが広く利用されています。
固定IPアドレス
常に同じIPアドレスが割り当てられる方式です。 接続し直してもIPアドレスが変わることはありません。 会社のサーバーを公開したり、特定のIPアドレスからのアクセスのみを許可するような、より高度なセキュリティが必要な場面で利用されます。 一般的に、固定IPアドレスの利用には追加料金が必要です。
自分のIPアドレスを確認する方法
自分のIPアドレスは簡単に確認することができます。
グローバルIPアドレスの確認
グローバルIPアドレスは、インターネット上の確認サイトにアクセスすることで簡単に知ることができます。「IPアドレス 確認」などのキーワードで検索すると、多くのサイトが見つかります。
プライベートIPアドレスの確認
お使いのパソコンやスマートフォンのネットワーク設定から確認できます。ここでは、パソコンでの簡単な確認方法を紹介します。
Windowsの場合(コマンドプロンプト)
1. 「Windowsキー + R」を押し、「cmd」と入力してEnterキーを押します。
2. 黒い画面(コマンドプロンプト)が表示されたら、「ipconfig」と入力してEnterキーを押します。
3. 表示された情報の中にある「IPv4 アドレス」の項目が、あなたのプライベートIPアドレスです。
C:\Users\YourUser>ipconfig
Windows IP 構成
イーサネット アダプター イーサネット: 接続固有の DNS サフィックス . . . . .: リンクローカル IPv6 アドレス. . . . .: fe80::xxxx:xxxx:xxxx:xxxx%xx IPv4 アドレス . . . . . . . . . . . .: 192.168.1.10 サブネット マスク . . . . . . . . . .: 255.255.255.0 デフォルト ゲートウェイ . . . . . . .: 192.168.1.1macOSの場合(ターミナル)
1. Launchpadから「ターミナル」を起動します。
2. ターミナルに「ifconfig」と入力してEnterキーを押します。
3. いくつかのネットワーク情報が表示されます。「en0」や「en1」などの項目の中にある「inet」の後に続く数字が、あなたのプライベートIPアドレスです。
$ ifconfig
en0: flags=8863<UP,BROADCAST,SMART,RUNNING,SIMPLEX,MULTICAST> mtu 1500 options=400<CHANNEL_IO> ether xx:xx:xx:xx:xx:xx inet6 fe80::xxxx:xxxx:xxxx:xxxx%en0 prefixlen 64 secured scopeid 0x6 inet 192.168.1.20 netmask 0xffffff00 broadcast 192.168.1.255 nd6 options=201<PERFORMNUD,DAD> media: autoselect status: activeまとめ
IPアドレスは、インターネットを利用する上で欠かせない「住所」の役割を果たしています。普段はあまり意識することはありませんが、その仕組みや種類を知ることで、ネットワークへの理解がより深まるはずです。
- IPアドレスはインターネット上の住所。
- IPv4は主流だが枯渇問題があり、IPv6が次世代の規格。
- グローバルIPは世界で唯一、プライベートIPは家庭内などのローカルな範囲で使われる。
- 動的IPは接続のたびに変わり、固定IPは常に同じアドレスが使われる。