NetExec (nxc) と nxcdb: ペネトレーションテストにおけるデータベース活用術 🕵️‍♂️💾

セキュリティツール

取得した認証情報やホスト情報を効率的に管理・活用する方法

現代の複雑なネットワーク環境において、セキュリティ評価やペネトレーションテストは不可欠なプロセスとなっています。これらのテストでは、様々なツールを駆使して脆弱性を発見し、システムの堅牢性を確認しますが、その過程で大量の情報(特に認証情報やホスト情報)が生成されます。これらの情報を効率的に管理し、後続の分析や攻撃フェーズで活用することは、テストの成否を左右する重要な要素です。

ここで登場するのが、NetExec (nxc) という強力なネットワークセキュリティ評価ツールと、それに付随するデータベース管理インターフェース nxcdb です。NetExec は、特に大規模ネットワークにおける自動化されたテストを得意とし、SMB, LDAP, WinRM, MSSQL, SSH, FTP, RDP, WMI など、多様なプロトコルに対応しています。そして、nxcdb は NetExec が収集したデータを整理し、活用するためのコマンドラインインターフェースを提供します。

このブログ記事では、NetExec のデータベース機能と nxcdb の使い方に焦点を当て、ペネトレーションテストやセキュリティ評価の現場でどのように役立つのかを詳しく解説していきます。ワークスペースの概念から、具体的なコマンド操作、データのエクスポートまで、実践的な情報をお届けします。さあ、NetExec と nxcdb の世界を探求しましょう!🚀

NetExec (nxc) とは?

NetExec (nxc) は、以前は CrackMapExec (CME) として知られていたツールのフォークであり、大規模ネットワークのセキュリティ評価を自動化するために設計された強力なツールです。ネットワークサービスに対する認証情報のテスト、脆弱性の探索、権限昇格などを効率的に行うことができます。

主な特徴としては以下が挙げられます:

  • 多プロトコル対応: SMB, LDAP, WinRM, MSSQL, SSH, FTP, RDP, WMI など、多くの一般的なネットワークプロトコルをサポートしています。
  • 並列処理: 多数のホストに対して同時にテストを実行できるため、大規模ネットワークでも迅速な評価が可能です(デフォルトのスレッド数は100)。
  • モジュール性: 様々なアクションを実行するためのモジュールが用意されており、機能の拡張が容易です。
  • データベース統合: テスト中に収集された認証情報やホスト情報などを自動的にデータベースに保存し、後で nxcdb を通じてアクセス・管理できます。

NetExec は、ペネトレーションテスターやセキュリティ研究者にとって、ネットワーク内部のセキュリティ態勢を把握し、潜在的なリスクを特定するための重要なツールとなっています。

NetExecの詳細は以下をご覧ください。

ペネトレーションテストツール NetExec (nxc) 徹底解説 🚀

nxcdb: NetExec データベースとの対話 ⚙️

nxcdb は、NetExec が収集したデータを管理するための専用コマンドラインインターフェース(CLI)シェルです。NetExec を初めて実行すると、~/.nxc/workspaces ディレクトリ内にデータベースが自動的にセットアップされます。nxcdb を使うことで、これらのデータベースに簡単にアクセスし、保存された情報を確認したり、操作したりできます。

ターミナルで nxcdb と入力すると、専用のシェルが起動します。

#~ nxcdb
nxcdb (default) >

プロンプトの (default) は、現在選択されているワークスペース名を示しています。

ヘルプの表示

いつでも help と入力すれば、利用可能なコマンドの一覧が表示されます。特定のコマンドについて詳しく知りたい場合は help <コマンド名> を使用します。

nxcdb (default) > help

Documented commands (type help <topic>):
========================================
clear_database  creds  dpapi  exit  export  groups  help  hosts  shares  wcc

Undocumented commands:
======================
back  import

ワークスペースの管理 🗂️

NetExec のデータベースは「ワークスペース」という単位で管理されます。これは Metasploit のワークスペースに似た概念で、異なるペネトレーションテストの案件(エンゲージメント)ごとにデータを分離して管理するのに役立ちます。デフォルトのワークスペース名は `default` です。

  • ワークスペースの作成:
    nxcdb (default) > workspace create test
    [*] Creating workspace 'test'
    nxcdb (test) >
  • ワークスペースの切り替え:
    nxcdb (test) > workspace default
    nxcdb (default) >
  • ワークスペースの一覧表示:
    nxcdb (test) > workspace list
    [*] Workspaces:
     default
     test
  • ワークスペースの削除:
    nxcdb (default) > workspace delete test
    [*] Deleting workspace 'test'

一度ワークスペースを選択すると、以降の NetExec (nxc) コマンドで収集された情報は、すべてそのワークスペースのデータベースに保存されます。

プロトコルデータベースへのアクセス

各プロトコル(SMB, LDAP, SSH など)には、それぞれ専用のデータベースが存在します。nxcdb シェル内で特定のプロトコルのデータベースにアクセスするには、proto コマンドを使用します。

nxcdb (default) > proto smb
nxcdb (default)(smb) >

プロンプトに (smb) が追加され、SMB プロトコルデータベースのコンテキストにいることが示されます。この状態で利用可能なコマンドを確認するには、再度 help を入力します。

nxcdb (default)(smb) > help

Documented commands (type help <topic>):
========================================
clear_database  creds  dpapi  exit  export  groups  help  hosts  shares  wcc

Undocumented commands:
======================
back  import

プロトコルコンテキストから抜けてワークスペースレベルに戻るには back コマンドを使用します。

nxcdb (default)(smb) > back
nxcdb (default) >

保存された情報の表示

プロトコルコンテキスト内で、収集された情報を表示するためのコマンドが利用できます。例えば、SMB プロトコルで収集された認証情報 (credentials) を表示するには creds コマンドを使います。

nxcdb (default)(smb) > creds
[*] Credentials database: /home/user/.nxc/workspaces/default/smb/credentials.db

  CredID  UserName      Password                        CredType  PillardFrom  Domain        NTLM
  ------  --------      --------                        --------  -----------  ------        ----
  1       Administrator LMHASH:NTHASH                    Hash      192.168.1.100 WORKGROUP     NTHASH
  2       User1         plaintext_password              Plaintext 192.168.1.101 DOMAIN.LOCAL  -
  ...

同様に、発見されたホスト情報は hosts、共有フォルダ情報は shares、所属グループ情報は groups コマンドなどで確認できます。

⚠️ 注意: 表示される情報は、NetExec の実行時にどのようなオプションが使用され、何が検出されたかによって異なります。

データベースからのエクスポート 📤

収集した情報を他のツールで利用したり、レポートを作成したりするために、データをエクスポートする必要がある場合があります。nxcdb では export コマンドが用意されています。

nxcdb (default)(smb) > export /path/to/output/directory

このコマンドは、現在のプロトコルデータベース (この例では SMB) の内容を指定されたディレクトリにエクスポートします。通常、CSV 形式などのファイルで出力されます。

データベースのクリア

テストが完了したり、新しいテストを開始する前にデータベースの内容を消去したい場合は、clear_database コマンドを使用します。これはプロトコルコンテキスト内でのみ有効です。

nxcdb (default)(smb) > clear_database
[*] Are you sure you want to clear the database? [y/N]: y
[*] Clearing database...

🚨 警告: この操作は元に戻せません。実行する前に、必要なデータがバックアップされていることを確認してください。

nxcdb シェルの終了

nxcdb シェルを終了するには exit コマンドを使用します。

nxcdb (default)(smb) > exit

nxcdb の活用シナリオ ✨

nxcdb は単なるデータ表示ツールではありません。ペネトレーションテストのライフサイクル全体で有効に活用できます。

  • 継続的な情報集約: 長期間にわたる評価や、複数のテスターが関与するプロジェクトにおいて、nxcdb を中心的な情報リポジトリとして使用できます。異なる日にスキャンした結果や、異なるテスターが得た認証情報が一元管理されます。
  • ターゲット選定の効率化: hosts コマンドでアクティブなホストや開いているポートを確認し、次の攻撃ステップのターゲットを効率的に選定できます。
  • 認証情報の再利用 (Password Spraying / Credential Stuffing): creds コマンドで取得した認証情報(平文パスワードやハッシュ)を抽出し、他のホストやサービスに対して試行する攻撃 (例: パスワードスプレー) に利用できます。
  • 権限昇格経路の探索: groups コマンドでユーザーの所属グループ情報を確認し、特定のグループ (例: Domain Admins) に所属するユーザーを見つけ出すことで、権限昇格の足がかりを探します。
  • レポート作成の補助: export コマンドで取得したデータを CSV などで出力し、レポート作成ツールやスプレッドシートソフトウェアで処理することで、報告書作成の手間を軽減できます。
  • チーム連携の強化: 共通のワークスペースを使用することで、チームメンバー間で収集した情報をリアルタイムに共有し、連携をスムーズにします。(ただし、共有方法やアクセス制御には注意が必要です。)

💡 プロのヒント

大規模なエンゲージメントでは、ワークスペースをフェーズごと(例: 初期偵察フェーズ、内部ネットワークスキャンフェーズなど)や、ターゲットのネットワークセグメントごとに分割して作成すると、より整理されたデータ管理が可能になります。

まとめ

NetExec (nxc) は、その強力なネットワークスキャン能力と多プロトコル対応により、現代のセキュリティ評価において非常に価値のあるツールです。そして、その効果を最大限に引き出す鍵となるのが、収集されたデータを効率的に管理・活用するためのインターフェース nxcdb です。

nxcdb を使いこなすことで、ペネトレーションテスターは以下のメリットを享受できます:

  • 取得した認証情報やホスト情報の一元管理。
  • ワークスペースによるプロジェクトごとのデータ分離。
  • 収集した情報に基づいた効率的な次のアクションの計画。
  • チームメンバーとの情報共有の円滑化。
  • レポート作成のためのデータエクスポート。

NetExec と nxcdb の組み合わせは、単に脆弱性を発見するだけでなく、テストプロセス全体をより体系的かつ効率的に進めるための強力な武器となります。ぜひ、日々のセキュリティ業務に取り入れ、そのパワーを体験してみてください。🛡️💪

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