パッケージリストの更新と確認
システムのパッケージリストを最新の状態に保ち、アップグレード可能なパッケージを確認します。
目的 | コマンド | 説明 |
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パッケージリストの更新 | 接続可能なリポジトリから利用可能なパッケージの最新リストを取得します。インストールやアップグレードの前に実行することが推奨されます。 | |
アップグレード可能なパッケージのリスト表示 | 現在インストールされているパッケージのうち、新しいバージョンが利用可能なものを一覧表示します。 |
パッケージのインストール
新しいソフトウェアパッケージをシステムに導入します。
目的 | コマンド | 説明 |
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単一パッケージのインストール | 指定した名前のパッケージをインストールします。依存関係のあるパッケージも自動的にインストールされます。 | |
複数パッケージの同時インストール | スペースで区切って複数のパッケージ名を指定し、同時にインストールします。 | |
確認プロンプトなしでインストール | インストール中に表示される確認メッセージ(「続行しますか? [Y/n]」など)を自動的に「Yes」と見なして処理を進めます。スクリプトなどで自動化する際に便利です。 | |
パッケージの再インストール | 指定したパッケージを再インストールします。設定ファイルに問題が発生した場合などに有効です。 | |
特定のバージョンを指定してインストール | 利用可能なバージョンの中から、特定のバージョンを指定してインストールします。バージョン番号は `apt policy <package_name>` などで確認できます。 | |
ローカルのdebファイルからインストール | ダウンロード済みの `.deb` 形式のパッケージファイルをインストールします。依存関係も可能な限り解決しようとします。 (古いバージョンの `dpkg -i` よりも推奨されることがあります) | |
推奨パッケージを除外してインストール | パッケージのインストール時に、「推奨 (Recommends)」される依存パッケージをインストールしません。最小限の構成にしたい場合に利用します。 | |
提案パッケージも含めてインストール | パッケージのインストール時に、「提案 (Suggests)」される関連パッケージもインストールします。より多くの機能を利用したい場合に検討します。 |
パッケージのアップグレード
インストール済みのパッケージを最新バージョンに更新します。
目的 | コマンド | 説明 |
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インストール済みパッケージのアップグレード | `apt update` で取得した情報に基づき、インストール済みのパッケージを新しいバージョンにアップグレードします。既存のパッケージは削除しません。 | |
システムのフルアップグレード | `apt upgrade` に加えて、アップグレードのために他のパッケージの削除が必要な場合でも処理を実行します。ディストリビューションのバージョンアップ時などに使われることがあります。 注意して使用してください。 | |
特定のパッケージをアップグレード | 指定したパッケージのみをアップグレードします。`apt install` でも同様の動作(最新版への更新)が行われます。 | |
確認プロンプトなしでアップグレード | アップグレード中に表示される確認メッセージを自動的に「Yes」と見なして処理を進めます。 |
ヒント: アップグレード前には必ず sudo apt update
を実行して、最新のパッケージリストを取得してください。
パッケージの検索と情報表示
利用可能なパッケージやインストール済みのパッケージを検索し、詳細情報を確認します。
目的 | コマンド | 説明 |
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キーワードでパッケージを検索 | 指定したキーワードをパッケージ名や説明文に含むパッケージを検索します。正規表現も利用可能です。 | |
利用可能な全パッケージを表示 | リポジトリに含まれるすべてのパッケージ(インストール済み、未インストール含む)を一覧表示します。非常に多くの出力があるため、`less` や `grep` と組み合わせることが多いです。 | |
インストール済みパッケージを表示 | 現在システムにインストールされているパッケージのみを一覧表示します。 | |
アップグレード可能なパッケージを表示 | 新しいバージョンが利用可能な、インストール済みパッケージを一覧表示します。(`apt update` 後に実行) | |
パッケージの詳細情報を表示 | 指定したパッケージのバージョン、依存関係、説明、サイズなどの詳細情報を表示します。 | |
パッケージのインストール候補と優先度を表示 | パッケージのインストール可能なバージョン、どのリポジトリから提供されているか、優先度などを表示します。複数のリポジトリやバージョンを管理している場合に役立ちます。 |
パッケージの削除
不要になったパッケージをシステムから削除します。
目的 | コマンド | 説明 |
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パッケージの削除 (設定ファイルは残す) | 指定したパッケージを削除します。ただし、関連する設定ファイルはシステム上に残ります。後で再インストールする可能性がある場合に便利です。 | |
パッケージの完全削除 (設定ファイルも含む) | 指定したパッケージと、それに関連する設定ファイル(システム全体の設定ファイルを除く)をすべて削除します。完全に不要になった場合に使用します。 | |
自動インストールされた不要なパッケージの削除 | 他のパッケージの依存関係として自動的にインストールされたものの、現在はどのパッケージからも必要とされなくなったパッケージを削除します。ディスクスペースを解放するのに役立ちます。 | |
確認プロンプトなしで削除 | 削除中に表示される確認メッセージを自動的に「Yes」と見なして処理を進めます。`purge`, `autoremove` でも `-y` オプションは利用可能です。 | |
ダウンロードしたパッケージファイル(.deb)の削除 | `/var/cache/apt/archives/` ディレクトリにキャッシュされている、ダウンロード済みのパッケージファイル(`.deb`)をすべて削除します。ディスク容量を解放しますが、再インストール時には再度ダウンロードが必要です。 | |
古いバージョンのパッケージファイルのみ削除 | `apt clean` と似ていますが、こちらはキャッシュディレクトリから、システムにインストールされているものより古いか、リポジトリに存在しないパッケージファイルのみを削除します。`clean` よりは安全です。 |
注意: purge
や autoremove
はシステムに必要なパッケージを誤って削除しないよう、実行前に削除されるパッケージリストをよく確認してください。
依存関係の確認
パッケージ間の依存関係や逆依存関係を調査します。
目的 | コマンド | 説明 |
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パッケージが依存している他のパッケージを表示 | 指定したパッケージが正しく動作するために必要とする他のパッケージ(依存関係)を一覧表示します。 | |
パッケージに依存している他のパッケージを表示 | 指定したパッケージを必要としている(依存している)他のパッケージ(逆依存関係)を一覧表示します。パッケージを削除する際の影響範囲を確認するのに役立ちます。 | |
依存関係の問題を修正試行 | インストールやアップグレード中に依存関係の問題が発生した場合に、その問題を解決しようと試みます。 `-f install` とも書けます。 |
リポジトリの管理
ソフトウェアの取得元となるリポジトリ(ソース)を管理します。
目的 | 方法/コマンド | 説明 |
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メインのリポジトリ設定ファイル編集 | システムの主要なパッケージリポジトリが記述されているファイルを編集します。(エディタは `nano` 以外でも可) 編集後は `sudo apt update` が必要です。 | |
追加リポジトリ設定ファイルの管理 | このディレクトリ内に `.list` 拡張子を持つファイルを作成・編集することで、追加のリポジトリ(PPAなど)を管理します。ファイルごとにリポジトリを管理できるため、整理しやすいです。編集後は `sudo apt update` が必要です。 | |
PPA (Personal Package Archive) の追加 | Ubuntuなどでよく使われるPPAを追加します。これにより、公式リポジトリ以外のソフトウェアを簡単に導入できます。実行後、通常は自動で `apt update` が実行されます。 Ubuntu/Debian系 | |
リポジトリの削除 (PPA) | 追加したPPAを削除します。削除後、`sudo apt update` を実行してパッケージリストを更新してください。 | |
リポジトリ設定をエディタで開く | デフォルトのエディタ(通常は `nano` や `vi`)で `/etc/apt/sources.list` を開きます。環境によっては `/etc/apt/sources.list.d/` 内のファイルも編集対象になることがあります。 |
警告: 信頼できないリポジトリを追加すると、システムのセキュリティを脅かす可能性があります。リポジトリの追加は慎重に行ってください。
便利なオプション
aptコマンドの動作をカスタマイズするための便利なオプションです。
オプション | エイリアス | 説明 |
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--fix-broken | -f | 依存関係が壊れている場合に、それを修正しようと試みます。通常は `apt install -f` のように使います。 |
--yes | -y | すべての確認プロンプトに対して自動的に「Yes」と答えます。スクリプトでの自動実行に便利です。 |
--simulate | --dry-run , -s | 実際の操作(インストール、削除など)は行わず、何が起こるかをシミュレーションして表示します。実行前の確認に役立ちます。 |
--quiet | -q | 進行状況表示などの出力を抑制し、エラーメッセージなど重要な情報のみを表示します。 |
--quiet --quiet | -qq | -q よりもさらに出力を抑制し、エラーのみを表示します。 |
--download-only | -d | パッケージのインストールやアップグレードを行わず、ダウンロードのみを実行します。ダウンロードしたファイルはキャッシュディレクトリ(通常 `/var/cache/apt/archives/`)に保存されます。 |
--allow-unauthenticated | N/A | GPGキーなどで署名されていない、未認証のリポジトリからのパッケージインストールを許可します。セキュリティリスクがあるため、通常は使用を避けるべきです。 |
--no-install-recommends | N/A | パッケージのインストール時に、推奨 (Recommends) される依存パッケージをインストールしません。 |
--install-suggests | N/A | パッケージのインストール時に、提案 (Suggests) される関連パッケージもインストールします。 |
--purge | N/A | `apt remove` と一緒に使うと、パッケージ削除時に設定ファイルも削除します (`apt purge` と同等)。 |
--autoremove | N/A | `apt remove` と一緒に使うと、指定したパッケージを削除した後、不要になった依存パッケージも自動的に削除します。 |