はじめに:Jupyter Notebookとは?
Jupyter Notebook(ジュピター・ノートブック)は、Webブラウザ上でPythonなどのプログラムを実行し、その結果を記録・共有できるとっても便利なツールです。特にデータ分析や機械学習の分野で広く使われています。
ノートブックという形式のファイルに、プログラムコードだけでなく、説明文(Markdown)や実行結果、グラフなどをまとめて記録できるのが大きな特徴です。段階的にコードを実行して結果を確認しながら作業を進められるので、Python初学者の方にもおすすめです! 😊
このツールを使うことで、以下のようなメリットがあります。
- コードとその実行結果、説明文を1つのファイルで管理できる
- セル単位でコードを実行し、結果をすぐ確認できる
- グラフや表などをノートブック内に直接表示できる
- 作成したノートブックを簡単に共有できる
インストール方法
Jupyter Notebookは、Pythonのパッケージ管理ツールであるpip
を使って簡単にインストールできます。
ターミナル(Windowsの場合はコマンドプロンプトまたはPowerShell)を開き、以下のコマンドを実行してください。
pip install notebook
もしpip
自体が古い場合は、先に以下のコマンドでpip
をアップデートしておくと良いでしょう。
python -m pip install --upgrade pip
(環境によっては pip3 install notebook
や python3 -m pip install notebook
のように pip
や python
の部分が異なる場合があります。)
これでJupyter Notebookのインストールは完了です!🎉
注意: Anacondaディストリビューションをインストールした場合は、Jupyter Notebookがすでに含まれていることが多いです。その場合は別途インストールする必要はありません。
起動と終了
インストールが完了したら、ターミナルで以下のコマンドを実行してJupyter Notebookを起動しましょう。
jupyter notebook
このコマンドを実行すると、自動的にWebブラウザが起動し、Jupyter Notebookのダッシュボード画面が表示されます。ダッシュボードでは、ファイルやフォルダを管理できます。
Jupyter Notebookを終了するには、ターミナルで Ctrl + C
キーを押します。確認メッセージが表示されるので、y
を入力してEnterキーを押すとサーバーが停止します。ブラウザのタブを閉じるだけではサーバーは停止しないので注意してくださいね。
基本的な使い方
ノートブックの新規作成
ダッシュボード画面の右上にある「New▼」ボタンをクリックし、表示されるメニューから「Python 3 (ipykernel)」などを選択すると、新しいノートブックが作成され、別のタブで開きます。
ファイル名はデフォルトで「Untitled」となっています。画面上部の「Untitled」をクリックして、好きな名前に変更しましょう。ファイルは .ipynb
という拡張子で保存されます。
セルについて
Jupyter Notebookは、「セル」という単位で構成されています。セルには主に2つの種類があります。
- コードセル (Code Cell): Pythonコードを記述し、実行するためのセルです。セルの左側には
In [ ]:
のような表示があります。 - マークダウンセル (Markdown Cell): 説明文や見出しなどをMarkdown記法で記述するためのセルです。
セルの種類は、ツールバーにあるドロップダウンメニューで切り替えることができます。
コードの実行
コードセルにPythonコードを入力し、そのセルを選択した状態で Shift + Enter キーを押すか、ツールバーの「▶ Run」ボタンをクリックすると、コードが実行され、結果がセルのすぐ下に表示されます。
# 例:簡単な計算
a = 10
b = 20
print(a + b)
実行すると、下に 30
と表示されるはずです。
マークダウンの書き方
マークダウンセルを選択し、Markdown記法を使ってテキストを記述します。例えば、見出しは #
で、箇条書きは -
や *
で記述できます。
# これは見出しです
これは通常のテキストです。
- リスト項目1
- リスト項目2
マークダウンセルを実行(Shift + Enter)すると、整形されたテキストが表示されます。
ノートブックの保存
ノートブックは定期的に自動保存されますが、手動で保存することも重要です。ツールバーのフロッピーディスク💾アイコンをクリックするか、Ctrl + S (Macの場合は Cmd + S) キーを押して保存できます。
モードについて ⌨️
Jupyter Notebookには2つの主要な操作モードがあります。これらのモードを切り替えることで、効率的に作業を進めることができます。
-
コマンドモード (Command Mode):
- セル自体を操作するためのモードです(セルの追加、削除、コピー、移動など)。
- セルの外側をクリックするか、編集モード中に
Esc
キーを押すと、コマンドモードになります。 - 選択中のセルの左枠が青色になります。
-
編集モード (Edit Mode):
- セル内にコードやテキストを入力するためのモードです。
- セル内をクリックするか、コマンドモード中に
Enter
キーを押すと、編集モードになります。 - 選択中のセルの左枠が緑色になり、カーソルが表示されます。
モードを意識してショートカットキーを使うと、マウスを使わずに素早く操作できます。
便利な機能 ✨
ショートカットキー
Jupyter Notebookにはたくさんのショートカットキーが用意されており、使いこなすと作業効率が格段にアップします!よく使うものをいくつか紹介します。(コマンドモードで実行します)
キー | 説明 |
---|---|
Esc | コマンドモードに移行 |
Enter | 編集モードに移行 |
A | 選択中のセルの上 (Above)にセルを挿入 |
B | 選択中のセルの下 (Below)にセルを挿入 |
M | 選択中のセルをMarkdownセルに変更 |
Y | 選択中のセルをCodeセルに変更 |
D , D (Dを2回) | 選択中のセルを削除 (Delete) |
Z | セルの削除を元に戻す (Undo) |
X | 選択中のセルをカット |
C | 選択中のセルをコピー |
V | 選択中のセルの下にペースト |
Shift + V | 選択中のセルの上にペースト |
H | ショートカットキーの一覧を表示 (Help) |
編集モード中にも便利なショートカットがあります。
キー | 説明 |
---|---|
Ctrl + Enter (Mac: Cmd + Enter ) | セルを実行する(フォーカスは移動しない) |
Shift + Enter | セルを実行し、下のセルへ移動(なければ新規作成) |
Alt + Enter (Mac: Option + Enter ) | セルを実行し、下に新しいセルを挿入 |
Ctrl + / (Mac: Cmd + / ) | 選択行をコメントアウト/コメント解除 |
Tab | コード補完 または インデント |
Shift + Tab | 関数のドキュメント(ヒント)を表示 |
H
キーで全てのショートカットを確認できるので、ぜひ見てみてください!
マジックコマンド
Jupyter Notebookには、「マジックコマンド」と呼ばれる特殊なコマンドがあります。%
(ラインマジック)または%%
(セルマジック)で始まるコマンドで、Notebookの機能を拡張してくれます。いくつか便利なものを紹介します。
マジックコマンド | 説明 |
---|---|
%lsmagic | 利用可能な全てのマジックコマンド一覧を表示します。 |
%timeit (Line) / %%timeit (Cell) | コードの実行時間を計測します。複数回実行して平均時間を表示してくれます。パフォーマンス測定に便利です。 |
%matplotlib inline | Matplotlibなどのライブラリで描画したグラフを、ノートブック内に直接表示するように設定します。(データ可視化でよく使います📊) |
%load <ファイル名> | 外部のPythonスクリプトファイルの内容をセルに読み込みます。 |
%run <ファイル名> | 外部のPythonスクリプトファイルを実行します。 |
%who or %whos | 現在定義されている変数の一覧を表示します。%whos は型や値の情報も表示します。 |
%%HTML | セル全体をHTMLとしてレンダリングします。 |
%%bash | セル内のコマンドをBash(シェルコマンド)として実行します。 |
# %timeit の使用例
%timeit [i**2 for i in range(1000)]
# %%timeit の使用例
%%timeit
total = 0
for i in range(1000):
total += i**2
# %matplotlib inline の使用例 (Matplotlibがインストールされている場合)
import matplotlib.pyplot as plt
import numpy as np
%matplotlib inline
x = np.linspace(0, 10, 100)
y = np.sin(x)
plt.plot(x, y)
plt.show()
まとめ
Jupyter Notebookは、Pythonコードの実行、結果の確認、ドキュメント作成をインタラクティブに行える強力なツールです。特にデータ分析や試行錯誤しながらのプログラミング学習において、その真価を発揮します。💡
基本的な使い方をマスターし、ショートカットキーやマジックコマンドを活用することで、より快適にPythonプログラミングを進めることができます。ぜひ、今後の学習や開発にJupyter Notebookを活用してみてください!
参考情報
- Project Jupyter 公式サイト: https://jupyter.org/
- Jupyter Notebook ドキュメント: https://jupyter-notebook.readthedocs.io/en/latest/
- IPython Built-in magic commands: (マジックコマンドの詳細) https://ipython.readthedocs.io/en/stable/interactive/magics.html
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