クラウドエンジニア必見!おすすめ資格一覧と難易度を完全解説

この記事から得られる知識

  • クラウドエンジニアにとって資格取得がなぜ重要なのか、その理由がわかります。
  • 主要な3大クラウドベンダー(AWS, Azure, Google Cloud)の認定資格の体系とそれぞれの特徴を理解できます。
  • 各資格の具体的な難易度、対象者、出題範囲の概要を把握し、自分に合った資格を見つけられます。
  • 自身のスキルレベルやキャリアパスに応じた最適な資格の選び方や、学習ロードマップのヒントを得られます。
  • ベンダーに依存しないニュートラルな資格の価値についても知ることができます。

はじめに:なぜ今、クラウドエンジニアに資格が求められるのか?

近年、多くの企業がオンプレミス環境からクラウド環境への移行を進めており、クラウドエンジニアの需要は急速に高まっています。このような状況下で、自身のスキルや知識を客観的に証明する手段として、クラウド関連資格の重要性はますます増しています。資格取得は、体系的な知識の習得に繋がるだけでなく、キャリアアップや転職活動においても大きなアドバンテージとなります。

しかし、一言でクラウド資格と言っても、AWS、Microsoft Azure、Google Cloudといった主要ベンダーがそれぞれ多種多様な認定資格を提供しており、「どれから取得すれば良いのか分からない」と悩む方も少なくないでしょう。

この記事では、クラウドエンジニアを目指す方や、さらなるスキルアップを図りたい現役エンジニアに向けて、主要なクラウド資格の種類、難易度、そして自身のキャリアパスに合わせた選び方を徹底的に解説していきます。


第1章:3大クラウドサービス(AWS, Azure, Google Cloud)の特徴

クラウド資格の世界に足を踏み入れる前に、まずは市場をリードする3つの主要なクラウドサービス、Amazon Web Services (AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud (旧GCP) の特徴を理解しておくことが重要です。それぞれのサービスに強みがあり、提供されている資格もその特徴を反映しています。

Amazon Web Services (AWS)

世界で最も高いシェアを誇るクラウドプラットフォームです。 圧倒的なサービス数と豊富な導入実績が特徴で、スタートアップから大企業まで幅広く利用されています。そのため、AWSに関する知識やスキルを持つエンジニアの需要は非常に高く、資格も高い認知度を誇ります。

Microsoft Azure

Microsoftが提供するクラウドサービスで、特にWindows ServerやOffice 365といった既存のMicrosoft製品との親和性が高いのが特徴です。 多くの企業がMicrosoft製品を利用しているため、Azureの需要も急速に拡大しています。 資格体系も役割(ロール)ベースで整理されており、実務に即したスキルを証明しやすい構成になっています。

Google Cloud

Googleの強力なインフラと技術力を背景に持つクラウドサービスです。特に、データ分析や機械学習(AI)、コンテナ技術(Kubernetes)の分野で高い評価を得ています。 データサイエンスやAI開発に強みを持ちたいエンジニアにとって、Google Cloudの資格は大きな武器となるでしょう。


第2章:【AWS編】認定資格の種類と難易度

AWS認定資格は、知識レベルに応じて4つのカテゴリに分類されています。自分のレベルや目指すキャリアに応じて、計画的に取得していくことが推奨されます。

FOUNDATIONAL (基礎)ASSOCIATE (アソシエイト)PROFESSIONAL (プロフェッショナル)SPECIALTY (専門知識)

FOUNDATIONAL (基礎レベル)

資格名対象者概要難易度
AWS Certified Cloud Practitioner
(CLF-C02)
クラウド初学者、非エンジニア職(営業、マネージャーなど)AWSクラウドの基本的な概念、主要サービス、セキュリティ、料金モデルなど、AWSに関する基礎的な知識を証明します。易しい

ASSOCIATE (アソシエイトレベル)

実務経験が1年程度のエンジニアを対象とした、より実践的な内容の資格です。 ここから役割(ロール)に応じた3つの資格に分かれます。

資格名対象者概要難易度
AWS Certified Solutions Architect – Associate
(SAA-C03)
インフラエンジニア、ソリューションアーキテクトAWS上でスケーラブルで可用性の高いシステムを設計・構築するための知識が問われます。最も人気が高く、多くのクラウドエンジニアが最初に目指す資格です。普通
AWS Certified Developer – Associate
(DVA-C02)
開発者、プログラマーAWSサービスを利用したアプリケーションの開発、デプロイ、デバッグに関する知識が問われます。普通
AWS Certified SysOps Administrator – Associate
(SOA-C02)
運用担当者、インフラエンジニアAWS環境の運用、管理、監視、セキュリティに関する知識が問われます。 3つのアソシエイト資格の中では最も実践的で難易度が高いと言われることもあります。普通

PROFESSIONAL (プロフェッショナルレベル)

2年以上の実務経験を持つ上級エンジニア向けの資格で、高度な知識とスキルが要求されます。

資格名対象者概要難易度
AWS Certified Solutions Architect – Professional
(SAP-C02)
上級アーキテクト、コンサルタント複雑な要件に対して、AWSのベストプラクティスに基づいた最適なソリューションを設計、展開、評価する能力が問われます。 アソシエイトの上位資格です。難しい
AWS Certified DevOps Engineer – Professional
(DOP-C02)
DevOpsエンジニア、上級開発者AWS環境におけるCI/CDパイプラインの構築、自動化、運用の最適化など、DevOpsに関する高度なスキルが問われます。難しい

SPECIALTY (専門知識)

特定の技術分野における深い専門知識を証明する資格です。難易度はプロフェッショナルレベルと同等かそれ以上とされています。

資格名概要難易度
Advanced Networking – SpecialtyAWSとオンプレミス環境を連携させるハイブリッドネットワークの設計・実装に関する専門知識を証明します。非常に難しい
Security – SpecialtyAWS環境におけるセキュリティ設計、脅威モデリング、インシデント対応など、セキュリティに関する専門知識を証明します。非常に難しい
Data Analytics – SpecialtyAWSのデータ分析サービスを活用して、データからインサイトを抽出するための設計・構築・保護に関する専門知識を証明します。非常に難しい
Database – SpecialtyAWSの各種データベースサービスの設計、移行、運用、最適化に関する専門知識を証明します。非常に難しい
Machine Learning – SpecialtyAWS上での機械学習モデルの設計、トレーニング、デプロイ、チューニングに関する専門知識を証明します。非常に難しい

第3章:【Microsoft Azure編】認定資格の種類と難易度

Microsoft Azureの認定資格は、難易度別に「Fundamentals」「Associate」「Expert」の3つのレベルに分類され、さらに特定の技術領域に特化した「Specialty」が存在します。

Fundamentals (初級)Associate (中級)Expert (上級) / Specialty (専門分野)

Fundamentals (初級レベル)

クラウドやAzureの基本的な概念を理解していることを証明する入門資格です。

資格名対象者概要難易度
Azure Fundamentals
(AZ-900)
クラウド初学者、IT業界未経験者クラウドの概念、Azureの中核サービス、セキュリティ、プライバシー、料金体系などの基礎知識を証明します。易しい
Azure AI Fundamentals
(AI-900)
AI・機械学習に興味がある初学者AIや機械学習の基本概念と、AzureのAI関連サービスの基礎知識を証明します。易しい
Azure Data Fundamentals
(DP-900)
データ関連業務の初学者中核となるデータ概念や、Azureのデータ関連サービスの基礎知識を証明します。易しい

Associate (中級レベル)

特定の職務(ロール)に基づいた実践的なスキルを証明する資格です。実務経験者が対象となります。

資格名対象者概要難易度
Azure Administrator Associate
(AZ-104)
Azure管理者、インフラエンジニアAzure環境の実装、管理、監視に関する幅広い専門知識を証明します。 仮想マシン、ストレージ、ネットワークの管理などが含まれます。普通
Azure Developer Associate
(AZ-204)
開発者、プログラマーAzureのコンピューティング、ストレージ、セキュリティなどを活用したアプリケーションの設計、開発、テスト、保守に関するスキルを証明します。普通
Azure Security Engineer Associate
(AZ-500)
セキュリティエンジニアID管理、プラットフォーム保護、データとアプリケーションのセキュリティ保護など、Azure環境のセキュリティ制御と脅威対策に関するスキルを証明します。普通
Azure AI Engineer Associate
(AI-102)
AIエンジニア、開発者Cognitive Services、Machine Learning、自然言語処理などを用いてAIソリューションを構築、管理、デプロイするスキルを証明します。普通

Expert (上級レベル) & Specialty (専門分野)

豊富な実務経験を持つ専門家向けの資格で、高度な設計・管理能力や特定の分野における深い専門知識が求められます。

資格名対象者概要難易度
Azure Solutions Architect Expert
(AZ-305)
上級アーキテクトコンピューティング、ネットワーク、ストレージ、セキュリティなどの要件に基づき、ビジネス目標を達成するためのAzureソリューションを設計する高度な専門知識を証明します。難しい
DevOps Engineer Expert
(AZ-400)
DevOpsエンジニアAzure DevOpsを活用し、人、プロセス、テクノロジを連携させてビジネス価値のある製品やサービスを継続的に提供するスキルを証明します。難しい
Azure for SAP Workloads Specialty
(AZ-120)
SAP管理者、Azure管理者Azure上でSAPワークロードを実装・管理するための専門知識を証明する専門資格です。非常に難しい

第4章:【Google Cloud編】認定資格の種類と難易度

Google Cloudの認定資格は、「Foundational」「Associate」「Professional」の3つのレベルに分かれており、クラウドのキャリアパスに沿ってステップアップできるよう設計されています。

Foundational (基礎)Associate (アソシエイト)Professional (プロフェッショナル)

Foundational (基礎レベル)

クラウドの概念とGoogle Cloudがもたらすビジネス価値を理解していることを証明する、最も初歩的な資格です。

資格名対象者概要難易度
Cloud Digital Leader非エンジニア職、ビジネス担当者Google Cloudの主要なサービスやユースケースを理解し、クラウドがどのようにビジネス変革をサポートできるかを説明できる能力を証明します。易しい

Associate (アソシエイトレベル)

Google Cloudの実務経験が半年から1年程度のエンジニアを対象とし、基本的なスキルを証明します。

資格名対象者概要難易度
Associate Cloud Engineerクラウドエンジニア初級者アプリケーションのデプロイ、プロジェクトのモニタリング、一般的なプラットフォームやサービスの操作など、Google Cloud環境のセットアップや運用に関する基本的なスキルを証明します。普通

Professional (プロフェッショナルレベル)

3年以上の業界経験と1年以上のGoogle Cloud実務経験を持つ上級者を対象とした、専門性の高い資格群です。

資格名対象者概要難易度
Professional Cloud Architectクラウドアーキテクトビジネス要件を満たす、スケーラブルで安全、かつ信頼性の高いクラウドアーキテクチャを設計・計画する能力を証明します。 非常に人気が高く、評価も高い資格です。難しい
Professional Cloud Developerアプリケーション開発者Google Cloudのサービスを用いてスケーラブルで高性能なアプリケーションを構築するスキルを証明します。難しい
Professional DevOps EngineerDevOpsエンジニア、SRE効率的な開発ライフサイクルを構築し、サービスのモニタリング、トラブルシューティング、継続的な改善を行う能力を証明します。難しい
Professional Cloud Security EngineerセキュリティエンジニアGoogle Cloudのセキュリティ技術を活用して、安全なインフラストラクチャを設計・実装する能力を証明します。難しい
Professional Cloud Network EngineerネットワークエンジニアVPC、ハイブリッド接続、ネットワークサービスなど、Google Cloudネットワークの設計・実装・管理に関する専門知識を証明します。難しい
Professional Machine Learning Engineer機械学習エンジニアビジネス課題に対応するMLモデルの設計、構築、本番稼働に関する専門知識を証明します。非常に難しい

第5章:ベンダーニュートラルな資格と国家資格

特定のベンダーに依存しない「ベンダーニュートラル」な資格は、クラウドコンピューティングの普遍的な知識やスキルを証明するのに役立ちます。マルチクラウド環境が増加する現代において、これらの資格はエンジニアとしての基礎体力を示す上で価値があります。

資格名主催団体概要難易度
CompTIA Cloud+CompTIAクラウドの概念、導入と構成、管理、保守、セキュリティといった、クラウドインフラの管理・運用に関する汎用的な知識とスキルを証明します。普通
Linux技術者認定 (LinuC/LPIC)LPI-Japan/LPI多くのクラウドサーバーで採用されているOS「Linux」の知識とスキルを証明します。クラウドインフラを扱う上で必須とも言える知識です。レベルによる
ネットワークスペシャリスト試験IPA (情報処理推進機構)ネットワークの固有技術からサービス動向までを幅広く網羅し、高度な知識とスキルを証明する国家資格です。クラウドとオンプレミスを接続する際などに役立ちます。 合格率は例年15%前後と非常に低く、難易度の高い資格です。非常に難しい
情報処理安全確保支援士IPA (情報処理推進機構)情報セキュリティに関する高度な知識・技能を証明する国家資格です。クラウドセキュリティの重要性が増す中で、価値の高い資格と言えます。合格率は20%前後です。非常に難しい

まとめ:自分に合った資格を選び、キャリアを加速させよう

本記事では、クラウドエンジニアにおすすめの資格を、3大クラウドベンダー(AWS, Azure, Google Cloud)を中心に、難易度別に解説しました。

資格取得は決してゴールではありません。しかし、自身のスキルを客観的に証明し、体系的な知識を身につけ、そしてキャリアの可能性を広げるための強力な手段であることは間違いありません。

自身の現在のスキルレベル、実務内容、そして将来のキャリアプランを考慮して、最適な資格を選び、学習ロードマップを立てることが重要です。

  • 未経験・初学者の方: まずはAWSの「Cloud Practitioner」、Azureの「AZ-900」、Google Cloudの「Cloud Digital Leader」といったFoundationalレベルの資格から始め、クラウドの全体像を掴むのがおすすめです。
  • 実務経験1〜2年の方: AWSの「Solutions Architect – Associate」、Azureの「Administrator Associate (AZ-104)」、Google Cloudの「Associate Cloud Engineer」など、Associateレベルの資格で中核となるスキルを固めましょう。
  • さらなる専門性を追求したい方: ProfessionalレベルやSpecialty資格に挑戦し、特定分野のスペシャリストとしての地位を確立しましょう。

この記事が、あなたのクラウドエンジニアとしてのキャリアを一層輝かせるための一助となれば幸いです。

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