Armitage Teamserver 徹底活用ガイド 🤝

セキュリティツール

Metasploit を使った共同ペネトレーションテストを加速する

Armitage は、Metasploit Framework の強力な機能をグラフィカルなインターフェースで提供するツールです。特に、複数のテスターが協力してペネトレーションテストを実施する「レッドチーム」運用において、その真価を発揮します。その中核となるのが teamserver です。

このガイドでは、Armitage の teamserver のセットアップから基本的な使い方、そしてチームでの効果的な活用方法までを詳しく解説します。さあ、チームでのペネトレーションテストを次のレベルに進めましょう!🚀

1. Armitage と Teamserver とは?🤔

まず、Armitage と teamserver の関係性を理解しましょう。

  • Metasploit Framework: Exploit(脆弱性攻撃コード)、Payload(攻撃成功後に送り込むコード)、Auxiliary(補助モジュール)などを集めた、ペネトレーションテストのための強力なオープンソースプラットフォームです。通常はコマンドライン (msfconsole) で操作します。
  • Armitage: Metasploit Framework のためのグラフィカルユーザーインターフェース (GUI) です。ターゲットの可視化、推奨 Exploit の表示、高度な Post-Exploitation 機能へのアクセスなどを容易にします。初心者にも扱いやすく、経験豊富なテスターにも効率的な操作を提供します。
  • Teamserver: Armitage のサーバーコンポーネントです。teamserver を起動することで、複数の Armitage クライアント(各テスターのマシンで動作)が同じ Metasploit インスタンスに接続し、情報を共有できるようになります。これにより、共同でのペネトレーションテストが可能になります。

簡単に言えば、teamserver は Metasploit を中心とした「作戦司令室」のようなもので、各テスター (Armitage クライアント) はその司令室に接続して情報を共有し、連携して作戦を進めることができます。

ポイント: teamserver は、単なる Metasploit の RPC (Remote Procedure Call) サーバーのラッパーではありません。リアルタイム通信、データ共有(ホスト情報、取得したセッション、収集した機密情報など)、セッション共有(特に Meterpreter セッション)のための追加機能を提供します。

2. Teamserver のセットアップ 🛠️

teamserver を利用するための準備を進めましょう。通常、Armitage は Kali Linux などのペネトレーションテスト用ディストリビューションに含まれています。

前提条件

  • Metasploit Framework: Armitage は Metasploit をバックエンドとして使用するため、Metasploit がインストールされている必要があります。Kali Linux には通常、プリインストールされています。
  • Java Runtime Environment (JRE): Armitage は Java で開発されています。OpenJDK などの JRE が必要です。

Kali Linux を使用している場合、Armitage は `apt` コマンドで簡単にインストールできます。

sudo apt update
sudo apt install armitage

インストールが完了すると、armitage (クライアント GUI) と teamserver (サーバー) コマンドが利用可能になります。

Teamserver の起動

teamserver はターミナルから起動します。基本的なコマンド形式は以下の通りです。

sudo teamserver <リッスンするIPアドレス> <共有パスワード>

各パラメータの意味は次のとおりです。

  • <リッスンするIPアドレス>: Armitage クライアントが接続するために使用するサーバーの IP アドレスを指定します。チームメンバーがアクセスできる IP アドレス(例: VPN や内部ネットワークの IP アドレス)を指定する必要があります。
  • <共有パスワード>: チームメンバーが teamserver に接続する際に使用する共通のパスワードです。推測されにくい、安全なパスワードを設定してください。

起動例:

例えば、サーバーの IP アドレスが `192.168.1.100` で、パスワードを `MySecretPassword123` に設定したい場合は、以下のように実行します。

sudo teamserver 192.168.1.100 MySecretPassword123

コマンドを実行すると、以下のようなプロセスが開始されます。

  1. SSL 証明書の生成: クライアントとの通信を暗号化するための自己署名 SSL 証明書 (armitage.store) が生成されます。
  2. Metasploit RPC デーモン (msfrpcd) の起動: Armitage が Metasploit と通信するための RPC サーバーが内部的に起動されます (通常 127.0.0.1:55554 など)。
  3. Armitage Team Server の起動: 指定した IP アドレスとデフォルトポート (55553) でクライアントからの接続待機を開始します。

起動が成功すると、ターミナルにはクライアントが接続するための情報が表示されます。

[*] Generating X509 certificate and keystore (for SSL)
[*] Starting RPC daemon
[*] MSGRPC starting on 127.0.0.1:55554 (NO SSL):Msg...
[*] MSGRPC backgrounding at ...
[*] sleeping for 20s (to let msfrpcd initialize)
[*] Starting Armitage team server
[*] Use the following connection details to connect your clients:
    Host: 192.168.1.100
    Port: 55553
    User: msf  <-- (デフォルトユーザー名)
    Pass: MySecretPassword123
[*] Fingerprint (check for this string when you connect): [サーバーのフィンガープリント文字列]
[+] multi-player metasploit... ready to go

⚠️ 注意点

  • teamserver は root 権限 (sudo) で実行する必要があります。
  • 指定する IP アドレスは、クライアントからアクセス可能なものである必要があります。ファイアウォールの設定を確認し、必要であればポート 55553 の通信を許可してください。
  • 公共のインターネットに直接公開された IP アドレスで teamserver を起動することは非常に危険です。VPN や信頼できる内部ネットワークでのみ使用してください。
  • すでに msfrpcd が動作している場合は、teamserver スクリプトはエラーを表示して終了します。事前に killall -9 msfrpcd などで停止させる必要があります。

3. Armitage クライアントからの接続 💻

teamserver が稼働したら、チームメンバーは各自の Armitage クライアントから接続します。

  1. Armitage を起動します (通常はターミナルから armitage コマンドを実行)。
  2. 起動すると接続ダイアログが表示されます。
  3. 以下の情報を入力します:
    • Host: teamserver が稼働しているサーバーの IP アドレス (例: `192.168.1.100`)
    • Port: teamserver のポート番号 (デフォルト: `55553`)
    • User: ユーザー名 (デフォルト: `msf`)
    • Password: teamserver 起動時に設定した共有パスワード (例: `MySecretPassword123`)
  4. Connect ボタンをクリックします。
  5. 初めて接続する場合、サーバーの SSL 証明書のフィンガープリントが表示されます。teamserver 起動時に表示されたフィンガープリントと一致することを確認し、Yes をクリックします。

接続が成功すると、Armitage のメイン画面が表示され、teamserver を介して Metasploit Framework へのアクセスが可能になります。

接続成功! これでチームメンバー全員が同じ Metasploit インスタンスに接続され、共同作業を開始できます🎉

4. Teamserver を利用した共同作業 🤝

teamserver を介して接続することで、以下の情報や機能がチームメンバー間で共有されます。

共有される主な情報

  • ホスト情報 (Targets): スキャンや Exploit によって発見・登録されたターゲットマシンの一覧。どのメンバーがホストを追加しても、全員の Armitage 画面に表示されます。
  • セッション (Sessions): 獲得した Meterpreter セッションや Shell セッション。
  • 収集された情報 (Loot): ターゲットから収集された認証情報 (パスワードハッシュなど)、ファイル、スクリーンショットなどの情報。
  • イベントログ (Event Log): チームメンバーの操作ログやチャットメッセージ。誰がどのモジュールを実行したか、どのホストにアクセスしたかなどが記録されます。
  • Metasploit のジョブ: バックグラウンドで実行されているスキャンや Exploit などのジョブ。

セッションの共有と管理

teamserver の最も強力な機能の一つがセッション共有です。

  • Meterpreter セッション: 透過的に共有されます。teamserver 内部のマルチプレクサにより、複数のメンバーが同時に同じ Meterpreter セッションに対してコマンドを実行できます。あるメンバーが実行したコマンドの結果は、そのメンバーにのみ返されます。🤖
  • Shell セッション: Shell セッションは、カレントディレクトリなどの状態に依存するため、透過的な共有は危険とされています。そのため、Armitage ではロック機構が提供されています。メンバーは Shell セッションを使用する際にロックを要求し、使い終わったら解放します。他のメンバーがロック中の Shell を操作しようとすると警告が表示されます。もしクライアントが予期せず切断された場合、teamserver は自動的にそのクライアントが保持していたロックを解放します。🔒

イベントログとチャット

Armitage の画面下部にあるイベントログは、単なるログ表示だけでなく、チームメンバー間のリアルタイムチャット機能も兼ねています。メッセージを入力して Enter キーを押すと、接続している全メンバーのイベントログに表示されます。これにより、作戦の連携や情報共有をスムーズに行えます。💬

データ共有の効率化

teamserver は、クライアントとサーバー間のデータ転送を効率化する仕組みを持っています。クライアントは自身が保持しているデータのハッシュ値をサーバーに伝え、サーバーはそのハッシュ値と自身のデータを比較します。変更がない場合はデータを送信しないため、多数のクライアントや大量のホスト情報がある場合でも、ネットワーク帯域の消費を抑え、スケーラビリティを確保しています。

ファイル転送

Metasploit のモジュールの中には、サーバー上に存在するファイル(例: カスタムペイロード、設定ファイル)を必要とするものがあります。teamserver は、クライアントからサーバーへファイルをアップロードしたり、サーバーからファイルをダウンロードしたりする機能を提供しており、これにより共同作業が円滑に進みます。📂

5. セキュリティに関する考慮事項 🛡️

teamserver はペネトレーションテストの中核を担うため、そのセキュリティ確保は非常に重要です。

  • 強力なパスワード: teamserver 起動時に設定する共有パスワードは、十分に長く複雑なものを選び、安全に管理してください。
  • アクセス制御: teamserver を実行するサーバーへのアクセスは、信頼できるチームメンバーのみに限定してください。
  • ファイアウォール: サーバーのファイアウォールを設定し、ポート 55553 へのアクセスを許可する IP アドレスを、チームメンバーが使用する IP アドレス範囲に限定することを強く推奨します。
  • ネットワーク: 可能であれば、VPN などの安全なネットワーク経由でのみ teamserver へのアクセスを許可するようにしてください。公共のネットワークに直接公開することは避けてください。
  • ログの監視: teamserver や Armitage クライアントのログを定期的に確認し、不審なアクティビティがないか監視してください。

🚨 重要

teamserver が侵害されると、ペネトレーションテストの全情報(ターゲット情報、取得したセッション、機密情報など)が漏洩する可能性があります。セキュリティ対策は万全に行ってください。

6. トラブルシューティング 😥

teamserver や Armitage の利用中に問題が発生することもあります。一般的な問題とその対処法をいくつか紹介します。

Teamserver が起動しない

  • 権限不足: sudo を付けて実行しているか確認してください。
  • ポート使用中: ポート 55553 や、内部で使用される 55554 などが他のプロセスで使用されていないか確認してください (sudo netstat -tulnp | grep 5555 など)。
  • msfrpcd が既に実行中: エラーメッセージを確認し、もし `msfrpcd is already running` と表示されている場合は、sudo killall -9 msfrpcd などで停止してから再試行してください。
  • Java の問題: サポートされているバージョンの Java がインストールされているか、PATH が正しく設定されているか確認してください。古い Java バージョン (例: 1.6) はサポートされていない場合があります。特定の Java バージョン (例: Oracle Java 1.8u131) で問題が発生した事例もあります。

クライアントが接続できない

  • IP アドレス/ポート番号/パスワードの間違い: 入力情報が正しいか、teamserver 起動時の情報と照らし合わせて確認してください。
  • ファイアウォール: サーバー側、クライアント側の両方でファイアウォールがポート 55553 の TCP 通信をブロックしていないか確認してください。
  • ネットワーク経路: クライアントからサーバーの IP アドレスへネットワーク的に到達可能か確認してください (pingtraceroute コマンドなど)。
  • Teamserver が停止している: サーバー上で teamserver プロセスが動作しているか確認してください。
  • SSL フィンガープリント不一致: 中間者攻撃の可能性も考慮し、フィンガープリントが正しいか慎重に確認してください。

Armitage が不安定/表示がおかしい

  • Java のバージョン: 特定の Java バージョンとの互換性問題が発生することがあります。別のバージョンの Java (推奨されるバージョン) を試してみてください。
  • リソース不足: サーバーまたはクライアントマシンのメモリや CPU リソースが不足している可能性があります。

7. まとめ ✨

Armitage の teamserver は、Metasploit を利用した共同ペネトレーションテストを実施するための強力な基盤を提供します。

  • リアルタイムでの情報共有: ホスト、セッション、収集データなどをチーム全体で共有できます。
  • 効率的なセッション管理: Meterpreter セッションの透過的な共有や、Shell セッションのロック機構により、複数人での作業をスムーズに進められます。
  • コミュニケーションの促進: イベントログ兼チャット機能により、チーム内の連携を強化します。

teamserver を正しくセットアップし、セキュリティに配慮しながら活用することで、レッドチームの能力を最大限に引き出し、より効果的なペネトレーションテストを実現できるでしょう。ぜひ、チームでの活動に取り入れてみてください!💪

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