モバイルアプリの盾 OWASP MASVSを初心者向けに徹底解説!

スマホアプリ開発者必見のセキュリティ基準

はじめに:OWASP MASVSってなに?

「OWASP MASVS」(オーワスプ エムエーエスブイエス)って聞いたことありますか? これは、モバイルアプリケーションセキュリティ検証標準 (Mobile Application Security Verification Standard) の略で、モバイルアプリのセキュリティを確保するための世界的な基準なんです。

スマホアプリは、私たちの生活に欠かせない便利なツールですよね!でも、その裏側には個人情報や決済情報など、大切なデータがたくさん詰まっています。 もしアプリにセキュリティ上の弱点(脆弱性)があったら、悪意のある攻撃者に狙われてしまうかもしれません…!

そこで登場するのがOWASP MASVSです。これは、アプリ開発者やセキュリティ担当者が、安全なアプリを作るための「道しるべ」のようなもの。どんな点に気をつければ良いのか、具体的なチェック項目を示してくれます。

このブログでは、OWASP MASVSについて、初心者の方にもわかりやすく解説していきます!

OWASP MASVSの目的と構成要素

OWASP MASVSの主な目的は、モバイルアプリのセキュリティレベルを高めるための共通の「物差し」を提供することです。これにより、開発者は安全なアプリを作りやすくなり、テスト担当者はアプリの安全性を一貫した基準でチェックできるようになります。

OWASP MASVSは、大きく分けて3つのレベル(+ 耐性要件)で構成されています。アプリの種類や扱うデータの重要度に応じて、目指すべきセキュリティレベルを選ぶことができます。

レベル 概要 対象アプリの例
MASVS-L1: 標準セキュリティ すべてのモバイルアプリに推奨される基本的なセキュリティ対策のベースライン。一般的な脆弱性を防ぐためのベストプラクティスが含まれます。 天気予報アプリ、簡単なゲームアプリなど、機密性の高いデータをあまり扱わないアプリ。
MASVS-L2: 多層防御 MASVS-L1に加えて、より高度なセキュリティ対策を要求されるレベル。機密性の高いデータを扱うアプリに適しています。 ネットバンキングアプリ、医療記録アプリ、決済機能を持つアプリ、ビジネスで利用するアプリなど。
MASVS-R: リバースエンジニアリングと改ざんへの耐性 アプリの解析(リバースエンジニアリング)や不正な改ざんを防ぐための対策。知的財産保護やチート行為防止が重要なアプリに適しています。 モバイルゲーム、著作権保護されたコンテンツを扱うアプリ、金融系アプリなど。

MASVS-L1とL2は基本的なセキュリティ要件で、MASVS-Rはそれらに追加できる耐性要件です。そのため、実際には以下のような組み合わせでセキュリティ目標を設定します。

  • MASVS-L1: 基本的なセキュリティ
  • MASVS-L2: 高度なセキュリティ
  • MASVS-L1 + R: 基本的なセキュリティ + 耐性
  • MASVS-L2 + R: 高度なセキュリティ + 耐性

アプリの特性に合わせて適切なレベルを選ぶことが重要です。

OWASP MASVSは定期的に更新されています。最新の情報はOWASP Mobile Application Security Projectの公式サイトで確認しましょう!

どんなセキュリティ要件があるの?

OWASP MASVSでは、モバイルアプリのセキュリティに関する様々な側面をカバーしています。大きく分けて以下のようなカテゴリがあります。

  • MASVS-STORAGE: データの保存方法に関する要件 (例: 機密情報を安全に保管しているか)
  • MASVS-CRYPTO: 暗号技術の利用に関する要件 (例: 適切な暗号アルゴリズムを使っているか)
  • MASVS-AUTH: 認証 (本人確認) やセッション管理に関する要件 (例: ログイン機能は安全か)
  • MASVS-NETWORK: ネットワーク通信に関する要件 (例: 通信は暗号化されているか)
  • MASVS-PLATFORM: OS (iOS/Android) の機能との連携に関する要件 (例: 他のアプリから情報を盗まれないか)
  • MASVS-CODE: コードの品質やビルド設定に関する要件 (例: 安全でない書き方をしていないか)
  • MASVS-RESILIENCE: リバースエンジニアリングや改ざんへの耐性に関する要件 (例: アプリの解析を防ぐ対策があるか)

これらのカテゴリの中に、具体的なチェック項目がたくさん含まれています。開発者はこれらの項目を確認しながら、アプリの安全性を高めていきます。

ちなみに、これらの要件を実際にどうやってテストすれば良いのか?という疑問には、姉妹プロジェクトである「OWASP MASTG (Mobile Application Security Testing Guide)」が答えてくれます。MASTGには、MASVSの各要件に対応した具体的なテスト手順が書かれています。

OWASP MASVSの活用方法

OWASP MASVSは、様々な場面で活用できます。

  • 開発者・設計者: 安全なアプリを設計・開発するためのガイドラインとして利用できます。どんなセキュリティ対策を実装すべきかの指針になります。
  • セキュリティテスト担当者: アプリのセキュリティ診断(脆弱性診断)を行う際の基準として利用できます。テストの網羅性や一貫性を保つのに役立ちます。
  • アプリ発注者・企画者: 開発会社にアプリ開発を依頼する際に、求めるセキュリティレベルを明確にするための基準として利用できます。

例えば、アプリ開発の初期段階で「このアプリはMASVS-L1を満たすように作ろう!」と目標を設定したり、リリース前に「MASVS-L1の項目をすべてチェックして問題ないか確認しよう!」といった使い方ができます。

注意点: OWASP MASVSは非常に有用な基準ですが、これだけでアプリのセキュリティが完璧になるわけではありません。アプリ固有のリスクや、連携するサーバー側のセキュリティなども考慮する必要があります。

まとめ

OWASP MASVSは、安全なモバイルアプリ開発のための重要なガイドラインです。

  • モバイルアプリのセキュリティ基準の世界標準
  • MASVS-L1, MASVS-L2, MASVS-R のレベルがあり、アプリに応じて選択
  • データ保存、暗号、認証、通信など幅広いセキュリティ要件をカバー
  • 開発者、テスター、発注者など、様々な立場で活用できる

モバイルアプリ開発に関わるなら、ぜひOWASP MASVSを理解し、活用していくことをお勧めします。安全なアプリを提供することは、ユーザーの信頼を得るためにも非常に重要です!

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