初心者向け!多要素認証(MFA)でセキュリティを強化しよう

はじめに

インターネットやクラウドサービスを使うのが当たり前になった今、自分のアカウントを守ることはとても重要です。「パスワードだけで大丈夫かな… 」と不安に思ったことはありませんか?

最近、ニュースで「不正アクセス」や「情報漏洩」といった言葉をよく聞くようになりました。IDとパスワードだけだと、それが盗まれた場合に簡単にアカウントに侵入されてしまう危険性があります。

そこで注目されているのが「多要素認証(MFA: Multi-Factor Authentication)」です。今回は、この多要素認証について、初心者の方にもわかりやすく解説していきます!

多要素認証(MFA)ってなに?

多要素認証(MFA)とは、かんたんに言うと「ログインするときに、複数の種類の『証拠』を組み合わせて本人確認をする方法」のことです。

多くのサービスでは、IDとパスワードだけでログインできますよね。これは「1つの要素」だけで認証しているので、「単要素認証」と呼ばれます。これに対して、MFAは2つ以上の異なる種類の要素を使って認証します。

たとえば、家の鍵を開けるときを想像してみてください。

  • 鍵だけで開けられる家 → 単要素認証
  • 鍵を使って、さらに暗証番号も入力する必要がある金庫 → 多要素認証

MFAを使うことで、もしパスワードが漏れてしまっても、他の要素(例えばスマホに届くコードなど)がなければログインできないため、セキュリティが格段に向上します。

ちなみに、「二要素認証(2FA)」という言葉もよく聞きますが、これはMFAの中でも特に「2つの要素」を使う場合を指します。MFAは2つ以上の要素を使う認証全般を指すので、二要素認証はMFAの一種と言えます。

認証の3つの要素

MFAで使われる「要素」は、大きく分けて以下の3種類があります。

要素の種類 説明 具体例 メリット デメリット
知識情報 (Something you know) 本人だけが知っている情報 パスワード、PINコード、秘密の質問 導入が容易、特別な機器不要 漏洩・推測のリスク、忘れる可能性
所持情報 (Something you have) 本人だけが持っている スマートフォン(SMS認証、認証アプリ)、ハードウェアトークン、ICカード、USBキー 物理的な所有が必要なため、オンラインでの窃取が困難 紛失・盗難のリスク、持ち歩く手間
生体情報 (Something you are) 本人の身体的な特徴 指紋認証、顔認証、虹彩認証、静脈認証 偽造・複製が困難、忘れることがない 専用機器が必要な場合がある、認証精度やプライバシーの懸念、ケガなどで認証できない可能性

MFAでは、これらの異なる種類の要素を2つ以上組み合わせて認証を行います。例えば、「パスワード(知識情報)+スマホアプリのコード(所持情報)」や「パスワード(知識情報)+指紋認証(生体情報)」といった組み合わせです。

注意点として、「パスワード」と「秘密の質問」の組み合わせは、どちらも「知識情報」なので、これはMFAとは呼びません。これは「多段階認証」と呼ばれることがあります。MFAは、必ず異なる種類の要素を組み合わせる必要があります。

なぜMFAが必要なの?

パスワードだけでは、もはや安全とは言えなくなってきています。その理由はいくつかあります。

  • パスワードの漏洩リスク: フィッシング詐欺や他のサービスからの情報漏洩などで、パスワードが盗まれるケースが増えています。警察庁によると、2021年の不正アクセス認知件数1516件のうち、パスワード入手の手口は「利用権者のパスワードの設定・管理の甘さにつけ込んで入手」「フィッシングサイトにより入手」が半数以上を占めています。
  • パスワードの使い回し: たくさんのサービスで同じパスワードを使っていると、一つ漏れただけで他のサービスも危険にさらされます。
  • 弱いパスワード: 簡単なパスワードは、コンピューターを使った攻撃(ブルートフォース攻撃や辞書攻撃)で破られやすくなっています。
  • 働き方の変化: テレワークの普及により、会社の外から社内システムやクラウドサービスにアクセスする機会が増えました。これにより、ログイン時のセキュリティ強化がより重要になっています。

MFAを導入することで、これらのリスクを大幅に減らすことができます。たとえパスワードが漏れても、追加の認証要素(スマホや指紋など)がなければ不正アクセスを防げる可能性が高まります。

Microsoftによると、MFAを使用することでアカウント侵害のリスクを99.9%以上削減できると報告されています (2020年の報告)。これは非常に大きな効果です!

MFAの具体的な例

MFAは、私たちの身の回りでも既に多く使われています。

  • オンラインバンキング: ID/パスワード(知識情報)でログイン後、振込などの操作時に、スマホアプリで生成されるワンタイムパスワード(所持情報)の入力を求められる。
  • Webサービス (Google, Microsoft 365, AWSなど): パスワード(知識情報)でログイン後、スマホにSMSで送られてくる確認コード(所持情報)を入力する、または認証アプリ(Google Authenticator, Microsoft Authenticatorなど)に表示されるコード(所持情報)を入力する。
  • ATM: キャッシュカード(所持情報)を挿入し、暗証番号(知識情報)を入力する。
  • 会社のVPN接続: ID/パスワード(知識情報)に加え、スマホの認証アプリ(所持情報)やハードウェアトークン(所持情報)での認証を要求される。
  • スマートフォンのロック解除: PINコード(知識情報)やパターン(知識情報)に加えて、指紋認証(生体情報)や顔認証(生体情報)を使う。

最近では、多くのクラウドサービスやSNSなどがMFAの設定を推奨、または必須としています。

MFAを始めてみよう!

多くのオンラインサービスでは、アカウントのセキュリティ設定画面からMFAを有効にできます。「二段階認証」「2ステップ認証」「多要素認証」といった名前で設定項目があることが多いです。

設定方法はサービスによって異なりますが、一般的には以下のような手順です。

  1. サービスのセキュリティ設定ページを開く。
  2. 「多要素認証」や「二段階認証」の項目を探して有効にする。
  3. 認証方法を選択する(SMS、認証アプリ、セキュリティキーなど)。
  4. 画面の指示に従って設定を完了する(電話番号の登録、認証アプリとの連携など)。

設定しておくと、次回ログイン時から追加の認証が求められるようになります。少し手間は増えますが、セキュリティが格段に向上するので、ぜひ設定してみましょう!

まとめ

多要素認証(MFA)は、パスワードだけに頼らない、より安全な本人確認の方法です。「知識」「所持」「生体」という異なる種類の要素を組み合わせることで、不正アクセスのリスクを大幅に減らすことができます。

サイバー攻撃が巧妙化し、パスワード漏洩のリスクが高まる現代において、MFAは個人にとっても企業にとっても不可欠なセキュリティ対策となっています。

まだMFAを設定していないサービスがあれば、この機会にぜひ設定を見直して、あなたの大切なアカウントを守りましょう!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です