[非エンジニア向け] ウェブサイト表示を速くする仕組みが悪用される? キャッシュポイズニングとは?🤔

用語解説

インターネットを使っていると、以前アクセスしたウェブサイトが次に開くとき速く表示されることがありますよね。これは「キャッシュ」という仕組みのおかげです。でも、この便利な仕組みが悪用されることがあるんです。それが「キャッシュポイズニング」と呼ばれるサイバー攻撃の一種です。

このページでは、キャッシュポイズニングがどのようなものか、どんな影響があるのか、そしてどうすれば防げるのかを、専門的な言葉をなるべく使わずに解説します。

そもそも「キャッシュ」って何? 💾

キャッシュとは、一度アクセスしたウェブサイトのデータ(画像や文字情報など)を、あなたのパソコンや、インターネットの途中にあるサーバー(中継地点のようなもの)に一時的に保存しておく仕組みのことです。

図書館で例えると、よく借りられる人気の本をカウンターの近くに置いておくようなイメージです📚。毎回奥の書棚まで探しに行かなくても、すぐに取り出せて便利ですよね。

インターネットでも同じように、一度見たページのデータを近くに保存しておくことで、次回同じページを開くときに、遠くにある元のサーバーまでデータを取りに行かなくても、保存場所からすぐに読み込めるので、表示が速くなるというわけです🚀。

  • ブラウザキャッシュ: あなたのパソコンやスマホのブラウザ(ChromeやSafariなど)に保存されるキャッシュ。
  • Webキャッシュ/プロキシキャッシュ: 会社やインターネットサービスプロバイダなどが設置する、複数の人が共同で使うキャッシュサーバー。
  • DNSキャッシュ: ウェブサイトのアドレス(例: www.example.com)と、その住所にあたる数字(IPアドレス)の対応関係を一時的に覚えておくキャッシュ。

キャッシュポイズニングは、主にこれらのキャッシュが悪用される攻撃です。

キャッシュポイズニングとは? ☠️

キャッシュポイズニングは、直訳すると「キャッシュへの毒盛り」です。攻撃者が、ウェブサイトのキャッシュサーバーにわざと偽の、あるいは悪意のある情報(毒)を送り込み、それを保存させてしまう攻撃のことです。

先ほどの図書館の例で言うと、悪意のある人が人気の本のカバーをこっそり全く違う内容の本(例えば、危険な情報が書かれた本)に付け替えて、カウンター近くに置いてしまうようなものです。図書館員はそれに気づかず、借りに来た人にその「偽物の本」を渡してしまいます。

インターネットの世界では、キャッシュサーバーがこの「気づかない図書館員」の役割をしてしまいます。攻撃者が仕込んだ「毒(偽の情報)」がキャッシュに保存されると、そのキャッシュを利用する他のたくさんのユーザーが、正しいウェブサイトにアクセスしようとしても、偽の情報を送りつけられてしまうのです。

ポイント: 攻撃者は、キャッシュが「本物」と「偽物」を区別しにくいような、ウェブサイトやキャッシュサーバーの「隙(脆弱性)」を突いて攻撃します。

どんな被害があるの? 😟

キャッシュポイズニングによって偽の情報を受け取ってしまうと、次のような被害に遭う可能性があります。

  • 偽サイトへの誘導 (フィッシング詐欺): 本物の銀行やショッピングサイトそっくりの偽サイトに誘導され、ID、パスワード、クレジットカード情報などを盗まれてしまう。
  • 悪意のあるソフトウェア (マルウェア) の配布: 偽のページから、気づかないうちにウイルスなどの悪質なプログラムをダウンロードさせられてしまう。
  • 情報漏洩: 偽のサイトで入力した個人情報が盗まれたり、場合によってはキャッシュされた情報から他の人の情報が見えてしまうこともある(稀なケース)。
  • 意図しないコンテンツの表示: 偽の広告が表示されたり、ウェブサイトの内容が改ざんされて表示されたりする。
  • サービス妨害: ウェブサイトが正しく表示されなくなり、サービスが利用できなくなる。

特にDNSキャッシュポイズニングの場合、メールの内容が盗まれたり、改ざんされたりする危険性もあります。

実際にあった攻撃の例 📰

キャッシュポイズニングは、理論だけでなく実際に観測されている攻撃です。

  • カミンスキー攻撃 (2008年): セキュリティ研究者のダン・カミンスキー氏が発見した、DNSキャッシュポイズニングを効率的に行う手法です。この発見により、多くのDNSサーバーソフトウェアが対策を強化しました。
  • 継続的な脆弱性の発見: その後も、Webキャッシュ(ウェブサイトのコンテンツを保存するキャッシュ)の仕組みを悪用した様々な攻撃手法が研究者によって報告されています。例えば、特定のHTTPヘッダー(ブラウザとサーバー間の通信で使われる追加情報)を悪用してキャッシュに不正な情報を注入する手法などがあります。
  • フレームワークやCDNへの影響: 人気のあるWeb開発フレームワークやCDN(コンテンツ配信ネットワーク)にも、過去にキャッシュポイズニングにつながる脆弱性が見つかった事例があります。

最近では、2020年にも新たなDNSキャッシュポイズニング攻撃(SAD DNS)が報告されるなど、攻撃者は常に新しい手法を探しています。また、2022年には特定のDNS関連ソフトウェア(totd)にソースポートが固定されている脆弱性(CVE-2022-34294)が見つかり、キャッシュポイズニングのリスクが指摘されました。

開発者はどう対策すればいいの? 🛡️

ウェブサイトやサービスを開発・運用する側は、キャッシュポイズニングを防ぐために次のような対策を考える必要があります。(少しだけ専門的な話になります)

対策の考え方簡単な説明
キャッシュキーの管理キャッシュするデータ識別に使う情報(キャッシュキー)に、ユーザーごとに変わる可能性のある情報や、攻撃者が操作できる情報(特定のHTTPヘッダーなど)を含めないように注意する。
入力値の検証 (サニタイズ)ユーザーや外部から送られてくるデータ(特にHTTPヘッダーなど)をそのまま信用せず、不正な値やコードが含まれていないか厳しくチェックし、無害化する。
キャッシュ対象の限定動的に生成されるコンテンツや、個人情報など機密性の高い情報を含むページは、むやみにキャッシュしないように設定する。
DNSサーバーのセキュリティ強化 (DNSキャッシュポイズニング対策)問い合わせ元のポート番号をランダム化する(ソースポートランダマイゼーション)。DNSSECという、DNS応答の正当性を検証する仕組みを導入する。
ソフトウェアの更新使用しているサーバーソフトウェア、キャッシュサーバー、フレームワークなどを常に最新の状態に保ち、脆弱性を修正する。
HTTPSの利用通信を暗号化することで、通信経路上でのデータの改ざん(中間者攻撃によるキャッシュポイズニングのリスク)を低減する。

これらの対策を適切に行うことで、キャッシュポイズニングのリスクを減らすことができます。

まとめ ✨

キャッシュポイズニングは、ウェブサイトの表示速度を上げるための便利な「キャッシュ」機能を悪用するサイバー攻撃です。攻撃が成功すると、ユーザーは偽のサイトに誘導されたり、マルウェアに感染したりする可能性があります。

普段インターネットを使う私たち自身が直接対策することは難しいですが、このような攻撃があることを知っておくことは大切です。ウェブサイトやサービスを提供する側は、適切なセキュリティ対策を講じることが求められています。

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