SBOM(ソフトウェア部品表)って何? 🤔 サプライチェーンリスクに備える第一歩

用語解説

最近よく聞く「SBOM」について、初心者向けに分かりやすく解説します!

SBOMとは?

SBOM(エスボム)は、Software Bill of Materials の略で、日本語では「ソフトウェア部品表」と呼ばれます。 これは、あるソフトウェアがどのような部品(コンポーネント、ライブラリ、モジュールなど)から構成されているかを一覧にしたリストのことです。ちょうど、食品のパッケージに書かれている原材料表示や、工業製品の部品リストのようなものだと考えると分かりやすいでしょう。

現代のソフトウェアは、ゼロからすべて開発されることは少なく、多くの場合、オープンソースソフトウェア(OSS)やサードパーティ製のソフトウェア部品を組み合わせて作られています。SBOMは、これらの部品の詳細情報(バージョン、開発元、ライセンスなど)を記録し、ソフトウェアの透明性を高める役割を果たします。

なぜSBOMが重要になったの?

近年、SBOMが注目されるようになった背景には、以下のような理由があります。

  • ソフトウェアサプライチェーン攻撃の増加: ソフトウェアがユーザーに届くまでの流れ(サプライチェーン)を悪用するサイバー攻撃が増えています。例えば、ソフトウェア部品に悪意のあるコード(マルウェア)が仕込まれ、それを利用した多くのシステムが危険に晒されるといった事件が発生しています。SBOMがあれば、どのソフトウェアに影響があるかを素早く特定しやすくなります。
  • 大規模な脆弱性の発覚: 2021年12月に発覚した「Log4j」のような、多くのソフトウェアで利用されているコンポーネントに重大な脆弱性が見つかるケースがあります。このような場合、自社システムに該当の部品が使われているかを迅速に確認する必要がありますが、SBOMがないと調査が非常に困難になります。
  • 規制や政策による後押し: アメリカでは、2021年5月に出された大統領令(EO 14028)で、政府機関が利用するソフトウェアのセキュリティ強化策の一つとしてSBOMの活用が推奨されました。これにより、世界的にSBOMへの関心が高まっています。日本でも経済産業省などがSBOM導入に向けた手引きを作成するなど、取り組みが進んでいます。
  • OSS利用の拡大とライセンス管理の複雑化: 多くのソフトウェアでOSSが利用されていますが、OSSには様々なライセンス条件があり、意図せずライセンス違反をしてしまうリスクがあります。SBOMによって、利用しているOSSとそのライセンスを正確に把握し、コンプライアンスを確保することが重要になります。
💡 SBOMは、ソフトウェアの「中身」を把握し、セキュリティリスクやライセンス問題を管理するための重要なツールなのです。

SBOMには何が書かれているの?

SBOMに含まれる具体的な情報は、利用目的や作成ツールによって多少異なりますが、一般的には以下のような項目が記載されます。これらはソフトウェアの透明性を確保し、様々なリスク管理に役立てるための基本的な要素です。

項目説明なぜ重要か?
サプライヤー名ソフトウェア部品を作成した組織や個人の名前部品の出所を明確にするため
コンポーネント名ソフトウェア部品の名称どの部品が使われているかを特定するため
バージョン情報ソフトウェア部品のバージョン特定のバージョンに存在する脆弱性やバグを特定するため
一意な識別子コンポーネントを一意に識別するための情報(例: PURL, CPE, SWIDタグ)部品情報をデータベースなどと正確に照合するため
依存関係部品同士がどのように関連し合っているかの情報ある部品の問題が他のどの部品に影響するかを把握するため
ライセンス情報部品に適用されるライセンスの種類(例: MIT, Apache 2.0, GPL)ライセンス違反のリスクを回避し、法的な問題を未然に防ぐため
SBOM作成者情報SBOM文書を作成した人やツールの情報SBOMの信頼性や出所を確認するため
タイムスタンプSBOMが作成または更新された日時情報の鮮度を確認するため
ハッシュ値コンポーネントの完全性を確認するための値(例: SHA-256)ファイルが改ざんされていないかを確認するため

SBOMのフォーマット(形式)

SBOMの情報は、人間だけでなく機械(ツール)でも読み取りやすいように、標準化されたフォーマットで記述されることが一般的です。現在、主に以下の3つのフォーマットが広く利用されています。

フォーマット名管理団体特徴主なファイル形式
SPDX
(Software Package Data Exchange)
Linux Foundationライセンス情報や著作権情報に関する記述が詳細。ソフトウェアコンプライアンス管理に適している。国際標準 (ISO/IEC 5962:2021) にもなっている。JSON, YAML, RDF/XML, tag-value (.spdx), XLSX
CycloneDXOWASP (Open Web Application Security Project)セキュリティに焦点を当てており、脆弱性情報の記述に強い。依存関係の表現も得意。JSON, XML, Protocol Buffers
SWID
(Software Identification) Tags
ISO (国際標準化機構) / NISTソフトウェアの識別とライフサイクル管理に焦点を当てている。インストールされたソフトウェアの管理(インベントリ管理)に適している。ISO/IEC 19770-2:2015 として標準化されている。XML

SPDXとCycloneDXが特に広く使われています。どちらのフォーマットを使うかは、SBOMの主な利用目的(ライセンス管理重視か、脆弱性管理重視かなど)によって選択されることがあります。

SBOMのメリット・活用例

SBOMを導入・活用することで、以下のようなメリットがあります。

  • 脆弱性管理の迅速化: 新たな脆弱性が発見された際、自社のソフトウェアが影響を受けるかどうかをSBOMを使って素早く確認し、対応を迅速に行えます。
  • ライセンスコンプライアンスの確保: 使用しているOSS等のライセンスを正確に把握し、ライセンス違反のリスクを低減できます。
  • ソフトウェアサプライチェーンの透明性向上: ソフトウェアを構成する部品の出所や依存関係が明確になり、サプライチェーン全体のリスクを評価しやすくなります。
  • ソフトウェア調達・導入時のリスク評価: 新しいソフトウェアを導入する際に、提供元からSBOMを入手することで、そのソフトウェアに含まれるリスク(脆弱性やライセンス問題)を事前に評価できます。
  • 監査対応の効率化: ソフトウェア構成に関する監査が行われる際に、SBOMがあれば必要な情報を迅速かつ正確に提供できます。
  • 開発プロセスの改善: ソフトウェアの構成要素を把握することで、開発中の依存関係の管理や、非推奨・EOL(End of Life)部品の使用防止に役立ちます。

まとめ

SBOMは、ソフトウェアの中身を可視化し、セキュリティリスクやライセンス問題を管理するための重要な「部品表」です。サプライチェーン攻撃の増加や規制の後押しもあり、その重要性はますます高まっています。

SBOMを理解し活用することは、安全なソフトウェア開発・運用、そしてビジネスリスクを低減するための第一歩と言えるでしょう。🚀

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