【初心者向け】IT用語「SOAR」って何?🤔 セキュリティ運用の自動化を解説!

セキュリティ対策を効率化するSOARの基本を学ぼう

SOARとは? 🧩

SOAR(ソアー)は、ITセキュリティの世界でよく聞かれる言葉で、Security Orchestration, Automation, and Response の頭文字を取ったものです。

簡単に言うと、セキュリティに関する様々な作業を連携させ(Orchestration)、自動化し(Automation)、インシデント(問題)への対応(Response)を迅速かつ効率的に行うための仕組みや技術、あるいはそれらを実現するソフトウェア製品(ソリューション)のことを指します。

読み方は「ソアー」です。

なぜSOARが必要なの? 🤔

近年、サイバー攻撃はますます巧妙化・増加しており、セキュリティ担当者が対応すべきアラート(警告)の数も膨大になっています。ある調査では、平均的なセキュリティチームは週に17万件以上のアラートに対処しているとも言われています。これらすべてのアラートを手作業で確認・対応するのは非常に困難です。

また、多くの企業、特に日本ではセキュリティに関する専門知識を持つ人材が不足しており、限られた人員で多くの業務をこなさなければならないという課題があります。

SOARは、このような課題を解決するために登場しました。

  • 🚨 増え続けるアラートへの対応負荷軽減
  • 🧑‍💻 セキュリティ人材不足の緩和
  • ⏱️ インシデント対応の迅速化(MTTD: 平均検知時間、MTTR: 平均修復時間の短縮)
  • 📉 手作業によるミスの削減と対応品質の均一化
  • 🧐 アラート疲れ(Alert Fatigue)の防止

SOARを導入することで、セキュリティチームは単純作業から解放され、より高度な分析や戦略的な業務、人による判断が必要な複雑なインシデントへの対応に集中できるようになります。

SOARの主な機能 🛠️

SOARプラットフォームには、一般的に以下のような機能が含まれています。

機能 説明
プレイブック(Playbook)作成・実行 インシデント対応の手順を「プレイブック」として定義し、ワークフローを自動または半自動で実行します。例えば、「フィッシングメール受信時の対応」や「マルウェア感染時の対応」といった一連の手順を自動化できます。製品によってはテンプレートが用意されている場合もあります。
インシデント管理 / ケース管理 発生したインシデントやアラートを「ケース」として一元管理し、対応状況、担当者、関連情報(ログ、分析結果など)を追跡・記録します。これにより、対応履歴の管理や情報共有が容易になります。
オーケストレーション(連携) 様々なセキュリティツール(SIEM、EDR、ファイアウォールなど)やITシステム、外部の脅威情報データベースなどをAPI連携などで繋ぎ、情報を集約したり、ツール間で指示を出したりします。
脅威インテリジェンス連携・管理 外部の脅威情報(Threat Intelligence)データベースと連携し、最新の攻撃者の情報、マルウェア情報、脆弱性情報などを取り込み、インシデント分析や対応の精度、状況認識(Situational Awareness)を高めます。
ダッシュボード・レポート セキュリティ運用状況、インシデント対応の進捗、チームのパフォーマンス(対応時間、担当者ごとの負荷など)を可視化し、レポートとして出力します。📈これにより、ボトルネックの特定や改善計画の立案に役立ちます。

SOAR導入のメリット ✨

🚀 迅速なインシデント対応

自動化により、インシデント検知から分析、封じ込め、復旧までの時間を大幅に短縮できます。

💪 運用負荷の軽減

定型的な作業や大量のアラート処理を自動化することで、セキュリティ担当者の負担を減らし、疲弊を防ぎます。

🎯 対応の標準化と品質向上

プレイブックに基づいて対応するため、担当者のスキルや経験によるバラつきがなくなり、一貫性のある質の高い対応が可能になります(属人化の解消)。

💰 コスト削減と生産性向上

インシデント対応時間の短縮や運用効率の向上により、人件費などのコスト削減に繋がる可能性があります。また、担当者はより高度な業務に集中できます。

SOARの活用例 konkret

SOARは様々なセキュリティ運用業務(SecOps)で活用されています。具体的な例を見てみましょう。

  • 🎣 フィッシングメール対応: 従業員から報告された不審なメールをSOARが受け取り、自動的に送信元IPアドレス、本文中のURL、添付ファイルなどを分析。脅威インテリジェンスと照合し、危険度を判定。悪質と判断された場合、類似メールを他の受信箱から検索・削除したり、ファイアウォールで送信元IPやURLへのアクセスをブロックしたり、関係者へ通知したりする一連の流れを自動化します。
  • 🛡️ 脆弱性管理: 新たな脆弱性情報が公開された際に、資産管理ツールと連携して自社システム内に対象となる機器やソフトウェアが存在するかを自動的に調査。影響を受けるシステム管理者にパッチ適用を依頼するチケットを自動発行したり、IPS(侵入防止システム)で一時的な防御ルール(仮想パッチ)を適用したりします。
  • 🔍 アラートトリアージとエンリッチメント: SIEMなどから大量に送られてくるアラートをSOARが受け取り、自動的に情報を付加(エンリッチメント)して分析・評価。誤検知や重要度の低いアラートを除外し、対応が必要なアラートのみを担当者に通知したり、優先順位付けを行ったりします。
  • 👾 マルウェア感染対応: EDR(Endpoint Detection and Response)が検知したマルウェア感染アラートに基づき、SOARが感染した端末のネットワーク隔離、関連する不正な通信のブロック、マルウェア検体のサンドボックスでの分析などを自動実行し、被害拡大を阻止します。

これらの自動化により、セキュリティチーム(SOCやCSIRTなど)はより迅速かつ正確に、そして一貫性をもってインシデントに対応できるようになります。

まとめ 📝

SOARは、セキュリティ運用の「連携 (Orchestration)」「自動化 (Automation)」「対応 (Response)」を強化するための重要な技術・ソリューションです。

増え続けるサイバー脅威に対抗し、セキュリティ人材不足という課題を抱えながらも効果的なセキュリティ対策を実現するために、SOARの導入を検討する企業が増えています。

この解説が、SOARという言葉を理解する一助となれば幸いです😊