インターネットを使っていると、時々ウェブサイトのデザインが崩れたり、見慣れない表示が出たりすることがあります。もしかしたらそれは「HTMLインジェクション」というサイバー攻撃の一種かもしれません。
このページでは、HTMLインジェクション(タグインジェクションとも呼ばれます)について、専門的な知識がない方にも分かりやすく解説します。
HTMLインジェクションって何? 🤔
HTMLインジェクションは、攻撃者がウェブサイトの表示を不正に変更する攻撃手法です。
ウェブサイトは「HTML」という言語で、文字の大きさや色、画像の表示場所などを指定して作られています。HTMLインジェクションは、このHTMLの「タグ」と呼ばれる命令文(例えば <b>
は文字を太くするタグ)を、攻撃者がウェブサイトに注入(インジェクション)することで、見た目を改ざんしたり、偽の情報を表示させたりします。
「タグインジェクション」と呼ばれるのは、まさにこのHTMLの「タグ」を注入する点に由来します。
HTMLインジェクションの「2つの意味合い」
HTMLインジェクションは、文脈によって少し違う意味で使われることがあります。
意味合い | 説明 | 主な目的 |
---|---|---|
1. 見た目の改ざん(コンテンツ・スプーフィング) | ウェブサイトの表示内容を直接書き換えること。文字を大きくしたり、色を変えたり、偽の画像やリンクを表示させたりします。 | 利用者を騙して情報を入力させたり、偽のメッセージで混乱させたりすること。 |
2. スクリプト実行の踏み台(XSSへの経路) | HTMLタグだけでなく、<script> のような、より強力なプログラム(スクリプト)を注入すること。これは一般的に「クロスサイトスクリプティング(XSS)」と呼ばれる、より深刻な攻撃の一部と見なされます。 | 利用者のクッキー情報(ログイン情報など)を盗んだり、悪意のある別のサイトに強制的に移動させたりすること。 |
簡単に言うと、見た目だけを変えるのが狭い意味でのHTMLインジェクション、そして、それを利用して悪意のあるプログラムを動かすのが広い意味でのHTMLインジェクション(またはXSS)と言えます。
どうやって攻撃されるの? 😟
HTMLインジェクションは、主にウェブサイトがユーザーからの入力(例えば、コメント欄への書き込み、検索キーワード、プロフィール情報など)を適切に処理せずに、そのままページに表示してしまうことが原因で発生します。
例えば、あなたがブログのコメント欄に「<b>こんにちは!</b>
」と書き込んだとします。もしウェブサイトがこれを単なる文字列として扱わず、HTMLの命令タグとしてそのまま表示してしまうと、あなたのコメントは「こんにちは!」と太字で表示されます。
攻撃者はこれを悪用し、見た目を変えるタグや、悪意のあるスクリプトを実行するタグ(<script>...</script>
など)を注入しようとします。
どんな被害があるの? 😨
HTMLインジェクションによって、次のような被害が発生する可能性があります。
- フィッシング詐欺: 本物そっくりの偽のログインフォームが表示され、IDやパスワードを盗まれる。
- 偽情報の表示: 偽の警告メッセージや、事実に反する情報が表示され、利用者が混乱したり、誤った行動をとってしまう。
- 悪意のあるサイトへの誘導: クリックすると危険なウェブサイトに飛ばされるリンクが埋め込まれる。
- 個人情報の窃取(XSSの場合):
<script>
タグが注入されると、ログイン状態を維持するための情報(クッキー)などが盗まれ、アカウントが乗っ取られる可能性がある。 - ウェブサイトの信頼性低下: 攻撃を受けたウェブサイトは、利用者からの信頼を失ってしまう。
過去には、様々なウェブサイト(SNS、掲示板、ブログサービスなど)で、ユーザー入力の処理不備を突いたHTMLインジェクションや、それに続くXSSの脆弱性が発見・修正された事例が多数報告されています。
どうすれば身を守れる?🛡️ (利用者として)
私たち利用者がHTMLインジェクションの被害に遭わないためには、以下の点に注意しましょう。
- 怪しい表示やリンクに注意: いつもと違う表示、不審なリンクやボタン、突然表示されるログイン画面などには注意し、安易にクリックしたり情報を入力したりしない。
- ソフトウェアを最新に保つ: 利用しているブラウザ(Chrome, Firefox, Edgeなど)やOS、セキュリティソフトは常に最新の状態にアップデートする。
- セキュリティソフトの利用: 信頼できるセキュリティソフトを導入し、常に有効にしておく。
- 不審なリダイレクトに注意: 意図せず他のサイトに飛ばされた場合は、すぐにタブを閉じるなど慎重に対応する。
ウェブサイトはどう対策しているの? 🛠️ (ウェブサイト管理者向け)
ウェブサイトの運営者は、HTMLインジェクションを防ぐために、主に以下の対策を行っています。(少し専門的になりますが、こういう対策があるんだな、という程度で大丈夫です)
- 入力値の検証(バリデーション): ユーザーが入力したデータに、HTMLタグのような危険な文字列が含まれていないかチェックする。
- 出力値のエスケープ(サニタイジング): ユーザーが入力したデータをウェブページに表示する際に、HTMLタグとして解釈される可能性のある特殊文字(例:
<
,>
,&
など)を、単なる文字として表示されるように無害化(エスケープ)する。例えば、「<script>
」を「<script>
」のように変換して表示することで、スクリプトとして実行されるのを防ぎます。
これらの対策をしっかり行うことで、安全なウェブサイトが保たれています。
まとめ
HTMLインジェクションは、ウェブサイトの表示を不正に操る攻撃です。見た目を変えるだけでなく、より深刻なXSS攻撃につながる可能性もあります。
利用者としては、ウェブサイトの不審な表示に注意し、ソフトウェアを最新に保つことが大切です。ウェブサイト運営者は、ユーザー入力の適切な処理(検証とエスケープ)を行うことで、この脅威からサイトを守る必要があります。
安全にインターネットを利用するために、このようなリスクがあることを知っておきましょう! 👍
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