パソコンの縁の下の力持ち!BIOSとは何かをわかりやすく解説

パソコンの電源を入れると、OS(Windowsなど)が起動する前に一瞬だけ黒い画面に白い文字が表示されるのを見たことはありませんか? それが今回解説する「BIOS(バイオス)」が動いている証拠です。

普段パソコンを使っているだけではあまり意識することのない存在ですが、実はパソコンが正常に動くために非常に重要な役割を担っています。 この記事では、初心者の方にもわかるように、BIOSとは何か、どんな役割を持っているのかを解説していきます。

BIOSとは?

BIOSは「Basic Input/Output System」の略で、直訳すると「基本的な入出力システム」となります。 これは、パソコンの最も基本的な部品であるマザーボードに搭載されたチップの中に入っているプログラムです。

パソコンの電源がオンになったときに一番最初に起動し、キーボードやマウス、ハードディスクなどのハードウェアをチェック・初期化して、OSを起動させる準備を整えるという、まさに「縁の下の力持ち」のような存在です。

BIOSの主な役割

BIOSには大きく分けて3つの重要な役割があります。

  1. ハードウェアのチェックと初期化(POST)

    パソコンの電源を入れると、BIOSはまず「POST(Power-On Self-Test)」と呼ばれる自己診断プログラムを実行します。 これにより、CPUやメモリ、キーボードなどの接続されているハードウェアが正常に動作するかを確認します。 もし何か問題が見つかると、ビープ音やエラーメッセージで知らせてくれます。

  2. OSの起動準備

    POSTが問題なく完了すると、BIOSは次にOSを起動させるための準備に入ります。 ハードディスクやSSDなどの記憶装置の中からOSの起動に必要なプログラム(ブートローダ)を探し出し、実行します。 これによって、私たちがおなじみのWindowsなどの画面が表示されるのです。

  3. ハードウェアとソフトウェアの橋渡し

    OSが起動するまでの間、BIOSはキーボードからの入力や画面への出力といった、基本的なハードウェアの制御を行っています。 このように、ハードウェアとOSなどのソフトウェアの間を取り持つ橋渡しのような役割も担っています。

BIOS設定画面でできること

通常、私たちがBIOSを直接操作することはほとんどありませんが、「BIOS設定画面(セットアップユーティリティ)」に入ることで、パソコンの基本的な設定を変更することができます。

設定画面に入るには、パソコンの電源を入れた直後に特定のキー(メーカーによって異なりますが、「F2」キーや「Delete」キーなどが多いです)を連打します。

注意:BIOSの設定を誤って変更すると、パソコンが起動しなくなるなどのトラブルにつながる可能性があります。 よくわからない項目はむやみに変更しないようにしましょう。

BIOS設定画面では、主に以下のような設定が可能です。

設定項目 説明
システムの日付と時刻の設定 パソコン内部の時計の日付や時刻を合わせます。 OSの動作にも影響するため、正確に設定することが重要です。
起動デバイスの順序変更 OSをどのデバイスから起動するか、その優先順位を変更します。 例えば、OSを再インストールする際に、USBメモリやDVDドライブから起動するように設定を変更します。
ハードウェアの認識状況確認 接続されているハードディスクやメモリなどが正しく認識されているかを確認できます。 パソコンの調子が悪いときの原因切り分けに役立ちます。
セキュリティ設定 BIOS設定画面を開くためのパスワードや、パソコン起動時のパスワードを設定し、不正なアクセスを防ぎます。
設定の初期化 設定を変更して調子が悪くなった場合に、「Load Setup Defaults」などの項目で工場出荷時の状態に戻すことができます。

後継技術「UEFI」との違い

最近のパソコンでは、BIOSに代わって「UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)」という新しい規格が主流になっています。 UEFIはBIOSの後継として開発され、より高機能で使いやすくなっています。 とはいえ、UEFIも広い意味でBIOSと呼ばれることがよくあります。

BIOSとUEFIの主な違いは以下の通りです。

項目 BIOS UEFI
操作画面 青い背景に白文字といった、キーボードのみで操作するテキストベースの画面が中心です。 Windowsのようなグラフィカルな画面で、マウス操作が可能です。
起動速度 ハードウェアのチェックを順番に行うため、起動に時間がかかりがちです。 起動プロセスが最適化されており、高速な起動が可能です。
対応ストレージ容量 古い仕組み(MBR)のため、2.2TBを超える容量のディスクからはOSを起動できません。 新しい仕組み(GPT)に対応しており、2.2TBを超える大容量ディスクからも起動できます。
セキュリティ 基本的なパスワード設定などの機能に限られます。 「セキュアブート」機能により、OS起動前に不正なプログラムが実行されるのを防ぐなど、セキュリティが強化されています。

まとめ

BIOSは、パソコンの電源が投入されてからOSが起動するまでの重要な初期プロセスを管理する、不可欠なプログラムです。 近年ではより高機能なUEFIにその座を譲りつつありますが、パソコンの基本的な仕組みを理解する上で、BIOSの役割を知っておくことは非常に有益です。

普段は触れる機会が少ないかもしれませんが、この記事を通じて、パソコンの裏側で健気に働く「縁の下の力持ち」の存在に少しでも興味を持っていただけたら幸いです。

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