サイバー攻撃を丸裸!🕵️‍♀️ Diamond Modelでインシデント分析を始めよう

はじめに:Diamond Modelってなに? 🤔

「Diamond Model(ダイヤモンドモデル)」って聞いたことありますか? これは、サイバーセキュリティの世界で、コンピューターへの不正侵入やサイバー攻撃といった「インシデント」を分析するための、とっても便利な考え方なんです。2013年に Sergio Caltagirone、Andrew Pendergast、Christopher Betz という3人の専門家によって発表されました。

まるで探偵が事件の真相を突き止めるように、Diamond Model を使うことで、攻撃者が「誰で (Who)」「何を使って (What)」「どうやって (How)」「誰を狙ったのか (Whom)」を、点と点を線で結ぶように分かりやすく整理できるんです。なんだか難しそう? 大丈夫! この記事で、初心者の方にも分かりやすく解説していきますね。一緒に学んでいきましょう! ✨

💎 Diamond Modelの4つの基本要素

Diamond Modelはその名の通り、ダイヤモンドのような四角形をイメージしてください。その4つの頂点が、インシデント分析の鍵となる要素を表しています。

要素 (頂点) 英語 意味 具体例
敵対者 (攻撃者) Adversary インシデントを引き起こした個人や組織のこと。
「誰が?」にあたる部分です。
  • 特定の国の支援を受けたハッカー集団
  • 金銭目的のサイバー犯罪グループ
  • 内部の不満を持つ従業員
能力 (攻撃手法・ツール) Capability 攻撃者が攻撃を実行するために使用したスキル、ツール、技術のこと。
「何を使って?」にあたる部分です。
  • 特定のマルウェア (例: Emotet)
  • フィッシングメール
  • ソフトウェアの脆弱性を突く攻撃コード (Exploit)
  • 総当たり攻撃 (Brute force attack)
インフラ (経由した基盤) Infrastructure 攻撃者が能力(ツールなど)を被害者に届けるために使用した通信経路やシステムのこと。
「どうやって?」の一部でもあります。
  • 攻撃に使われたサーバー (C&Cサーバー)
  • 乗っ取られたWebサイト
  • IPアドレス、ドメイン名
  • メールサーバー
被害者 (ターゲット) Victim 攻撃者の標的となった個人、組織、システムのこと。
「誰を?」にあたる部分です。
  • 特定の企業や政府機関
  • 特定の役職の人物
  • 特定のOSやソフトウェアを利用するユーザー
  • ネットワーク上の特定のコンピューター

この4つの要素は互いに関連し合っています。例えば、「敵対者」は特定の「能力」を使い、「インフラ」を経由して「被害者」を攻撃する、といった具合です。これらの関係性を線で結んでいくことで、インシデントの全体像が見えてきます。🤝

🧩 さらに分析を深める「メタフィーチャー」

Diamond Modelには、4つの基本要素に加えて、「メタフィーチャー」と呼ばれる、分析をより豊かにするための付加情報があります。これらはダイヤモンドの中心や辺に書き加えるイメージです。

  • タイムスタンプ (Timestamp) ⏱️: イベントが発生した日時。いつ攻撃が始まり、いつ終わったのかなどを記録します。
  • フェーズ (Phase) 📊: インシデントの一連の流れ (キルチェーンなど) の中で、どの段階に当たるかを示します。(例: 偵察、侵入、内部活動、目的達成など)
  • 結果 (Result) 🎉/😭: インシデントの結果どうなったか。(例: 情報漏洩成功、アクセス権限奪取、サービス停止、失敗など)
  • 方向性 (Direction) ↔️: イベントがどの要素からどの要素へ影響したかを示します。(例: 敵対者 → インフラ、能力 → 被害者など)
  • 方法論 (Methodology) 🧐: どのようにイベントが発生したか、より一般的な分類。(例: フィッシング、水飲み場攻撃、脆弱性利用など)
  • リソース (Resources) 🛠️: 敵対者が能力やインフラを利用するために必要としたもの。(例: ソフトウェア、ハードウェア、知識、資金など)

これらのメタフィーチャーを追加することで、単なる点の繋がりだけでなく、より詳細で立体的な分析が可能になります。

🚀 Diamond Modelを使うメリットは?

Diamond Modelを使うと、どんないいことがあるのでしょうか?

  • 分かりやすい!🤓: 複雑なインシデント情報を、4つの要素と関係性でシンプルに整理できます。
  • 分析が深まる!🕵️: 各要素の関係性を考えることで、攻撃者の意図や次の行動を推測しやすくなります。
  • 情報共有しやすい!🗣️: チーム内や他の組織とインシデント情報を共有する際に、共通の枠組みとして役立ちます。
  • 知識が繋がる!🔗: 過去のインシデント分析結果(ダイヤモンド)を繋げることで、特定の攻撃者グループの傾向や、キャンペーン全体の流れを把握できます。(Activity Threadingと呼ばれます)
  • 脅威インテリジェンスに活用!💡: 分析結果を脅威インテリジェンスとして蓄積し、将来の攻撃への対策に活かせます。

🏢 実際の活用例:APT1レポート

Diamond Modelがどのように活用されているか、具体的な例を見てみましょう。

2013年にセキュリティ企業 Mandiant (現 Google Cloudの一部) が発表した「APT1」に関するレポートは、Diamond Modelの考え方を活用して、中国を拠点とするとされる大規模なサイバー攻撃グループの活動を詳細に分析した有名な事例です。

このレポートでは、APT1という「敵対者」が、多数のカスタムマルウェアやツールという「能力」を、広範囲にわたる C&C サーバー群などの「インフラ」を利用して、世界中の141以上の組織という「被害者」から、数テラバイトに及ぶデータを窃取していた活動を明らかにしました。個々の攻撃イベントをDiamond Modelで整理し、それらを繋ぎ合わせることで、APT1という巨大な脅威グループの実態とその活動の全貌を浮かび上がらせたのです。このレポートは、国家が関与するサイバー攻撃の実態を世に知らしめ、脅威インテリジェンスの重要性を示す上で大きな影響を与えました。

まとめ:Diamond Modelで分析力をアップ! 💪

Diamond Modelは、サイバーインシデントを分析するための強力なフレームワークです。4つの基本要素(敵対者、能力、インフラ、被害者)とメタフィーチャーを使って情報を整理することで、複雑な攻撃も分かりやすく捉え、効果的な対策に繋げることができます。

セキュリティの世界に足を踏み入れたばかりの方も、ぜひこの Diamond Model を知っておくと、ニュースで報じられるサイバー攻撃の裏側や、セキュリティレポートの内容がより深く理解できるようになるはずです。インシデント分析の第一歩として、この考え方を活用してみてくださいね! 😉